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1990-12-06 平成2年第4回定例会(第2日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 1990-12-06
    1990-12-06 平成2年第4回定例会(第2日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(五領和男君)ただいまから、本日の会議を開きます。       ─────────────    △ 総括質間(代表) 2 ◯議長(五領和男君)本日の日程は、代表質問であります。  山本孝一君に発言を許可いたします。    [山本孝一君登壇](拍手) 3 ◯山本孝一君 ことしもはや十二月になりましたが、まさに翔ぶが如く、月日のたつのは早いものでございます。本年は、昭和天皇の喪が明け、先般、今上天皇陛下の御即位の礼及び大嘗祭が滞りなく斉行されましたことは、県民ひとしく喜びにたえないところであり、名実ともに平成の世が本格的なスタートをいたしたわけであります。  本県においても、六月に総合基本計画が決定されて、土屋県政の実質的なスタートの年となりました。しかし、この一年を振り返ってみますと、国際情勢においても、東西対立の歴史始まって以来の大きな転換の年でありました。すなわち、ベルリンの壁が崩壊して一年足らずの十月三日には、東西両ドイツの統一が実現いたしました。また、社会主義体制の盟主であったソ連自体が、二年以内に市場経済に移行しようとするなど、コペルニクス的転換を行い、世界の注目を集めたところであります。  アジアにおいても、我が党も入って北朝鮮との国交正常化等に関する共同宣言に調印。政府間の予備交渉が開始されており、韓国とソ連との国交樹立も一歩踏み出すなど、冷戦対立から対話と協調への変換は、ことし一年世界を大きく揺り動かしてまいりました。  一方、八月以来のイラクのクウェート侵攻は長期化しつつあり、私どもはこれらのグローバルな動きをしっかりと見きわめ、世界の平和と繁栄に向けて、積極的に貢献をしなければならないと思うのであります。  このような国際情勢のもとにおいて、国内では昭和六十一年の十二月から始まった今回の大型景気は四十九ヵ月に達し、戦後最長のいざなぎ景気の五十七ヵ月に迫る勢いでありますが、中東紛争の長期化や米国の景気後退などに伴い、その行方に若干の不透明感も広がってきたと言われております。  このような国際的、国内的な大きな動きの中で、本県におきましては、年頭から「翔ぶが如く」の放映が始まりました。三月議会で県庁舎の建設位置については、鹿児島市の鴨池新町のグリーンセンターが適地であることを承認、四月にバイオテクノロジー研究所が開所、五月に大韓航空によるソウル線が開設、六月には総合基本計画が決定されました。九月になって台風十九号等が襲来、福岡におけるとびうめ国体では、天皇杯の順位は昨年の四十一位から三十位と大躍進、やればできるという自信を持たせて、すばらしい成績を示していただきました。このような本年一年間の動きを踏まえながら、県政を取り巻く当面する重要問題について、自由民主党県議団を代表して質問をしてまいります。  知事並びに関係部長の明快な、本年の締めくくりの答弁をお願いいたしておきます。  まず、財政問題についてお尋ねをいたします。  いまや地方公共団体は、多極分散型国土形成のための地域振興や高齢化社会への対応等、長期的政策課題を多く抱え、今後、早急に社会資本の整備、福祉の増進など、住民生活の質的向上を図ることが緊要であり、その役割と責任は、これまでにも増して重要になってきていると考えるのであります。  このような情勢の中で、地方財政は累積した多額の起債残高を抱えるなど、非常に厳しい状況にあります。しかるに、懸案となっている公共事業等国庫補助負担率の昭和五十九年度水準までの復元問題にもまだ結論が出ていないとき、これに追い打ちをかけるように、国の平成三年度予算編成をめぐり、一般財源である地方交付税の交付税率の引き下げや圧縮が問題とされているようであります。
     そこで、知事は、このような地方交付税をめぐる動きを踏まえ、本県にとっての地方交付税制度の意義をどのようにとらえ、この動向にどのように対処されておられるのかお伺いをいたします。  第二は、本年度の今後に見込まれる財政需要と財源確保の見通しについてであります。  本年度の県税については、法人事業税の落ち込みが懸念されるものの、県税全体としては、昨年度を若干上回る程度確保できる模様とお聞きしており、地方交付税についても、先般決定された普通交付税は、前年度に比ベ九・六%増と全国平均を上回る伸びを確保するなど、歳入は全般的に堅調に推移しているようであります。  一方、歳出についてみますと、本年度は台風の災害復旧など、財政需要は例年になく大きなものがあり、さらには県庁舎建設基金などにも配慮した財政運営を進めなければならないと考えますが、今後の財政需要と財源確保の見通しについてお聞かせください。また、平成三年度国の予算成立のおくれも予想される中で、公共事業発注の平準化を図るため、ゼロ国債の確保が要望されておりますので、これが見通しについてもあわせてお答えください。  第三は、平成三年度の予算編成についてであります。  平成三年度は、日米構造協議に基づく二千億円の生活関連重点化枠等を含めて、県関係予算の大幅な伸びが期待されるほか、総合基本計画実施の実質的な初年度でもあり、県民も大きな関心と期待を抱いているところでありますが、平成三年度の当初予算は、どのような姿勢と枠組みで編成に当たられるのかお伺いをいたします。  次に、総合基本計画の第一期実施計画についてお尋ねいたします。  去る六月十一日に決定された総合基本計画具体的推進を図るため、平成五年度までの三ヵ年を第一期とする実施計画策定作業が進められ、その素案が総合開発審議会の計画部会に提出をされて、最終的な調整の段階にあると思うのであります。  この第一期実施計画は、総合基本計画を軌道に乗せる重要な役割を担っており、戦略プロジェクトについては、その実施実現に向けて基礎固めを行うとともに、早期に着手することが可能なものについては、積極的な推進に努められる方針であることから、県民挙げてその内容に注目しているところであります。  そこで、お尋ねする第一点は、現在、地域別振興方向並びに戦略プロジェクトなどの取りまとめの段階で、特に意を用いられている点を明らかにされるとともに、各地域の主要な目玉事業を示していただきたいのであります。  第二点は、地域振興方向策定の基礎となる地域区分についてであります。  県下七地域のうち、南薩、北薩、大隅、熊毛、奄美の五地域は、従来の総合計画における地域区分と同じでありますが、鹿児島地域と姶良・伊佐地域を変更して、新たに県央地域と県中北地域を設定をされました。従来の鹿児島地域でさえも一極集中が問題視されましたが、今回県央地域として、鹿児島市に国分・隼人地区まで含めて拡大されたことから、さらに一層の人口や諸機能の集中が懸念されるのであります。  そこで、改めて県央地域設定の考え方と県土の均衡ある発展についての基本的な考え方を明らかにされたいのであります。なお、新しい過疎地域活性化計画に基づく計画的かつ積極的な過疎地域の振興に、一層の心配りを要請するものでありますが、実施計画の内容は、この考え方に即応するものになっているのか、あわせてお伺いをいたします。  第三点は、経済成長率と事業費についてであります。  総合基本計画では、国の経済成長率四%を上回る年四・二%の成長率を見込んでおりますが、第一期実施計画の期間中の経済成長率は、どの程度を見込んでおられるのか。なお、これに基づく第一期実施計画の推進に要する事業費については、総合基本計画の中における第一期実施計画の重要性にかんがみ、また日米構造協議において、過去十ヵ年の公共投資額の一・六倍にも達する計画が最終合意された中で、大幅な事業費の伸びを期待するものでありますが、現在のところ、どの程度の総額を計画しておられるのか。なお、この事業費のうち県予算の関係分及び民間活力に期待する分をお教えいただくとともに、従来の総合計画における事業費に比べて、どの程度の伸びになっているのかお聞かせをいただきたい。  第四点は、実施計画の推進体制についてであります。  特に、戦略プロジェクトなど、新たな課題に適切に対応するため、組織機能の強化を図るとされておりますが、これが具体的取り組みについてお伺いをいたします。  第五点は、先般の国勢調査による県人口の速報値についてでありまして、昭和六十年の調査より一・二%、二万一千人余りの減少で、市町村別に見て、鹿児島広域都市圏を中心に、川内市、鹿屋市など、十六の市町村で増加したほか、八十の市町村で減少したことは、まことに残念であります。  知事初め私どもも、せっかく県勢発展のために努力している中にあって、総合基本計画において百八十五万三千人程度への増加を見込んで計画されておられますが、今回の百七十九万七千七百四十五人への減少を、知事はどのように認識しておられるのかお伺いをいたします。  第六点は、錦江湾における海上交通網の整備についてであります。  総合基本計画では、鹿児島市を中軸とする鹿児島広域都市圏の整備と県内各地域のアクセスの充実により、人、物、情報の循環を高めることに力点を置いており、鹿児島市への人口や都市機能の集積がますます高まるものと考えられるのであります。  そこで、昨今の国道十号線や二百二十五号線の交通渋滞を見るとき、また近い将来における県庁舎の移転とも関連して、錦江湾内の、特に湾奥部と鹿児島市を結ぶ海上交通は、時間的、経済的な面から考えまして、非常に重要な役割を担うものと思われるのでありますが、錦江湾内の航路開設について、知事の御所見をお聞かせ願いたいのであります。  次に、九州新幹線鹿児島ルートの建設についてお尋ねをいたします。  運輸省が、来年度予算の概算要求の目玉として打ち出した鉄道整備基金の創設や整備新幹線の建設に向けた着工調整費の要求など、本格着工への準備が整ってきたことから、県民の長年の悲願であった鹿児島ルート本格着工の平成三年度実現に、期待が大きく膨らんだところであります。  しかしながら、ここに来て運輸省が昨年の一月の政府与党間で取り交わされた申し合わせに基づき、九州新幹線鹿児島ルートの本格着工の前提条件として、並行在来線の取り扱いについての結論を求めてまいりました。私ども、この並行在来線問題については、申し合わせの中ではっきりと開業時の廃止がうたわれておりました信越線の横川―軽井沢間は別として、その他のルートに着工する場合は、並行在来線の取り扱いに関し具体的な結論を得た後、これを行うということがうたわれただけで、廃止は新幹線着工の条件として決定されたものではないと理解していただけに、大きなショックでありました。  また、今まで本議会における知事の答弁も、並行在来線は新幹線と異なる重要な機能を持っているので、引き続いての存続を強く主張してまいりたいということでありましたので、私どもは安心をして、ただひたすら本格着工の実現に向け、正念場の突破に精いっぱいの努力を傾けたわけであります。沿線の市町村でも同様であったと思うのであります。  ところが、九月末に知事から、新幹線と並行在来線の両立は難しいと報告をされて以来、県民、特に沿線住民からはレールを外すな、何としても存続してほしいという強い要望がなされたわけであります。その中で、阿久根市議会においては、並行在来線廃止反対に関する意見書が採択をされ、反対運動が展開されておりますが、その他の沿線各市町においても、新幹線建設のため苦しい選択を強いられていることを御理解いただきたいのであります。  また、第三セクターへの移行案については、JRから分離してうまく運営できるのか。分離後もJRは積極的に協力してくれるのか。どの程度の地元負担になるのか。JR時代の赤字をどうして縮小できるのか。料金の値上げやサービスの低下があるのではないか。貨物の関係はどうなるのか。七月の集中豪雨で不通になった豊肥線のような大災害が起きた場合はどうなるのか。北陸や東北新幹線の模様はどうなっているのかなど、いろいろたくさんの問題が出されたところであります。  しかし、鹿児島、熊本両県とJR九州による初めての三者協議が十月十五日に開催され、JR九州側から並行在来線の経営分離の方針が表明されたのを受け、その後沿線自治体関係者との協議や三者協議を重ねられ、先日の三者のトップ会談において、JR九州が提案した川内―西鹿児島間はJR九州が引き続き経営、八代―川内間は第三セクターへ経営を移行する案が最終的に合意されたところであります。  そこで、並行在来線の取り扱い並びに第三セクターについての知事の基本的な考え方をお聞かせいただき、県民の不安に十分にお答えをいただくとともに、JR九州、鹿児島、熊本県との三者協議や沿線自治体との協議の経過等を明らかにされたいのであります。また、新幹線について昨日の報道によりますと、運輸、大蔵両省が整備新幹線三線の同時着手に大筋で合意した旨伝えられる中で、鹿児島ルートの平成三年度本格着工実現について、どのように見通しておられるのかお伺いをいたします。  第二は、新幹線建設費の地元負担の取り扱いについてであります。  平成元年の政府与党の申し合わせにより、整備新幹線の建設費は、JR、国及び地域が分担することになっており、それぞれの負担割合はJRが五〇%、線路等の鉄道施設にかかわる工事については、国が四〇%、地域が一〇%、駅、その他の地域の便益に直接関連する鉄道施設にかかわる工事については、国が二五%、地域が二五%となっているわけであります。  この地域負担の取り扱いについては、運輸省が要求をしている百二十五億円の着工調整費が認められ、三線の五つの区間に二十五億円ずつ均等に配分されたとすると、来年度の鹿児島ルート地元負担額は、熊本県側を含めまして約十一億円。また、完成までの負担額は、昭和六十二年四月現在の建設費で試算をした場合、両県で六百五十億円となるようであります。  そこで、関係市町村の事情等を考慮し、また困難を避けるためにも、負担してもらう市町村の範囲、負担割合等について早急に対応すべきであると思いますが、知事の基本的な考え方をお示し願いたいのであります。    [知事土屋佳照君登壇] 4 ◯知事(土屋佳照君)まず、財政問題でございますが、地方交付税制度は、御承知のとおり、地域間に経済力の格差がありますことから、地方税収入の偏在が大きい状況のもとで、すべての地方団体が一定水準の行政サービスを住民に提供することができますよう、国税の一定部分を地方団体に配分し、財源の均等化を図りますとともに、必要な財源を補償する制度であるわけでございます。  まさに、財源補償と財源調整機能を合わせ持つものであって、現在の地方財政制度の中で極めて重要な役割を果たしているものと考えております。本県財政にとりましては、地方交付税は最大の歳入項目でありまして、その使途について制限を受けない、いわゆる一般財源の過半を占めるものでありますことから、その総額の確保と本県のような財政基盤の脆弱な地域への傾斜配分による財源調整機能の強化を従来から国に対し要請してきているところでございます。  こういったことから、平成三年度の地方財政対策の中で、最近報道されております地方交付税に関する動きにつきましては、重大な関心を持っておりまして、今後とも状況の推移を踏まえながら、全国知事会など、地方六団体との連携を密にして、地方交付税率の引き下げなどの措置の取られることのないよう、国に対して強く働きかけてまいりたいと考えておるところでございます。  また、今回提案しております補正予算には、九月補正以降の追加財政需要のうち、当面緊急を要するものといたしまして、災害復旧対策費を計上しておりますが、県職員の給与改定について、職員団体との協議も整いましたので、近く所要の補正予算の追加提案をお願いしたいと考えておりまして、現在準備を急いでいるところでございます。  また、これ以外の今後の追加財政需要が考えられる事項といたしましては、退職手当、地方バス路線維持対策のほか、県庁舎建設基金の積み立てなどが考えられますが、これらは今後の財政状況を勘案しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。  なお、これらの財政需要に対する財源につきましては、県税収入には大きな伸びが見込めない状況にありますが、地方交付税の留保額、また次の国会に提案が予定されております国の補正予算案による地方交付税の追加交付を充てていきたいと考えております。まだ、その他の歳入の確保と経費節減にも、さらに努めてまいりたいと思っております。  いわゆるゼロ国債につきましては、次の国会に提案される補正予算案の中で、国全体で昨年と同額の六千億円が計上されると聞いております。ゼロ国債は、公共事業の平準化を図る上からも重要なことだと思っておりますので、国の補正予算成立を待って、本県においても必要な事業費の確保を図り、次の議会において予算の補正をお願いしたいものだと思っておるところでございます。  また、明年度の当初予算編成につきましては、基本的には既存事務事業の見直しなど、歳出の整理合理化を進めますとともに、国に対し十分な地方財政対策などがされますよう要望をいたしますなど、積極的な歳入の確保を図りながら、県民生活にとって重要なものについては積極的に取り組み、重点的かつ効率的な予算の配分を行ってまいりたいと考えております。  こうした方針のもとで、戦略プロジェクトを初めとする総合基本計画にかかわる施策につきましては、来年度から第一期実施計画が始まることとなりますので、調査から手がけるものも多いわけではございますが、着手できるものは積極的に盛り込んで、そのスタートの年であります来年度当初予算にできるだけ計上していきたいと考えております。  なお、日米構造協議に基づく生活関連枠につきましては、現在国においてその取り扱いを検討中でございますが、本県のような社会資本整備のおくれております地域に傾斜配分されますよう、国に対して強く要請をしてまいりたいと考えております。  次に、実施計画における地域区分の設定は、これまで策定された各種地域振興計画等との整合性、総合基本計画各種施策事業との関連などを総合的に勘案をし、また市町村の意見も十分聞いて行ったところでございますが、この中で県央地域につきましては、戦略プロジェクトであります鹿児島広域都市圏の構想等を踏まえて地域設定をした次第でございます。  鹿児島広域都市圏の構想は、鹿児島市の都市機能の集積と国分・隼人地域の先端技術産業の集積を生かして、これらの地域と周辺中間地域を一体的に整備することによって、相乗効果が発揮されることを期待するものでありまして、こういった集積が鹿児島県の将来のためにぜひ必要であるという考え方に立っておるものでございますけれども、同時に、今後さらに県内各地域とのアクセスの改善等進めて、このような都市機能集積の効果を県内各地域に及ぼすことによって、県内全体の発展を図っていこうとするものでございまして、すべての県民が県内のどの地域に住んでも充実した生活を送ることのできる、魅力ある県土づくりという目標達成のための施策の一環であると考えております。  また、総合基本計画においては、過疎地域活性化のための施策を推進することとしておることは当然でございまして、実施計画におきましても過疎地域活性化計画を踏まえて、同地域の振興を図ることといたしたいと考えております。  次に、総合基本計画に織り込まれた各戦略プロジェクトや各種の施策を円滑に推進してまいりますためには、計画の進行管理と総合調整が適切に行われて、関係各部、各課の協力体制が整うことが重要であると考えますので、計画全体の進行管理、総合調整を行う組織の設置など、全庁的な推進体制を確立して取り組んでいきたいと思っております。  また、個別プロジェクトの推進体制につきましては、部間にまたがるものや市町村との連携を要するものもありますので、必要に応じて推進組織やプロジェクトチームの設置、市町村を含めた推進協議会等の設置などを検討をしておるところでございます。  また、ただいま御指摘のございましたように、去る十月に行われた国勢調査の速報集計結果によりますと、本県の人口は、前回の調査を約二万五千人下回っております。これは、最近の全国的な出生率の低下傾向や最近数年間の県人口の動向から見まして、ある程度予想されていたところではございますが、大変厳しい結果であって残念に思っております。  人口減少の原因といたしましては、一つには全国的な出生率の低下の中で、本県においては全国より早い高齢化が進行しており、それだけに出生数も減少しているということ。また、東京一極集中が強まる中で、依然として若年層を中心とする人口の流出が続いておりますとともに、最近Uターンなど、転入人口が減少傾向にあることなどが考えられると存じます。こうしたことは、大都市圏以外の各地においては、全国的に共通の傾向にございますが、私としては今後本県が発展し定住化が促進されるためには、国による地方振興施策の充実とともに、総合基本計画における県民生活、産業経済、県土の各分野での施策を積極的に推進することが必要であると考えておりまして、県民一体となって、その実現のために全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  次に、錦江湾内には、現在四航路ございまして、大隅半島と鹿児島市及び薩摩半島を結ぶ交通機関として、大きな役割を果たしております。錦江湾内の海上交通につきましては、錦江湾によって二つの半島に分かれておるという地形的な制約条件を克服して、県本土の一体的な公共交通網のネットワークを形成する上で、極めて有効な手段だと私も考えております。  湾奥部については、今後、総合基本計画を実施していく過程で、各種の施策や構想の整備の状況等考慮に入れながら、湾内航路のあり方についても適切な方向について検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、九州新幹線関連の御質問でございますが、九州新幹線鹿児島ルート並行在来線の取り扱いにつきましては、私といたしましても、それが地域住民にとって重要な交通機関でありますことから、新幹線が完成したとしても、これを現状の形態で残すことができれば、これにこしたことはないと考えまして、それなりの努力をしてまいったつもりでございます。  しかしながら、運輸省が本格着工につながる予算要求をするといった情勢の中で、昨年一月十七日の政府与党申し合わせの線に沿って、並行在来線問題の早急な整理が求められたところでございまして、その後、実際に鉄道を管理し、また今後建設するJR九州などと同区間の経営状況や将来見通しについて協議、検討を行いましたところ、並行在来線を現状のままで運営をするとともに新幹線の本格着工を実現することは、なかなか困難であると判断せざるを得なかったのでございます。  他方、地域の足は守らなければならないという立場から検討を加えました結果、第三セクター化をして輸送需要に見合った車両の軽量化、レールバス化するということでございますが、そういったことなどを図ることによりまして、人件費の削減、保線経費の縮減等によりまして、赤字を大幅に削減することができますために、何とか努力をすることによってレールを残して運営することが可能であると判断をされたのでございます。また、JR九州の人材面での協力、技術協力、経営安定化への協力などを得ながら、県が中心となって第三セクターの運営に当たることによって、長期的、安定的運営が可能であると判断をした次第でございます。  このようなことから、私としては非常に厳しい選択でございました。地域にもいろんな声があることも承知をしております。そういうことではございましたけれども、川内―八代間につきましては、第三セクターによる運営によって地域住民の足を確保するということで、JR九州からの経営分離を受け入れることを決意した次第でございます。  なお、第三セクターにした場合、利便性の確保につきましても、レールバスの導入によって需要に応じたサービスの提供が可能となり、便数の増加、きめ細かなダイヤの設定など、サービスレベルの向上が可能であると考えております。そのときに至って、具体的にそういうことは十分検討していくことができると思っておるのでございます。また、貨物輸送につきましても、レールは現在のまま残るわけでございますので、おおむね現状どおりの輸送体制が確保できるものと考えております。  また、災害などについてのいろいろ心配もあることも当然だろうと思います。JR九州の説明によれば、鹿児島本線は防災設備の整備が図られておりまして、防災強度は高いということでございますが、将来、仮に災害が起こった場合の対応等につきましては、運輸省において、平成三年度予算におきまして、鉄道に関する災害復旧助成制度の創設を概算要求しておられるところでございますので、この助成制度等が参考になるのではないかと思っておりますけれども、そういうことは当然頭に置いて、今後も対応していかなきゃならんと思っておるところでございます。  また、JR九州、鹿児島県、熊本県との三者によります協議は、十月以降三回にわたり事務レベルで行いました。この協議では、新幹線は関係県の発展はもとより、九州の浮揚発展のためにも不可欠であるとの共通の認識、また、新幹線をつくることによりまして、第二の国鉄をつくってはならないというJR側の立場や並行在来線も通勤、通学を初め地域交通の重要な役割を担っており、地域の足として重要であるとの地元の考え方をもとにいたしまして、種々協議を重ねてきたところでございまして、その間、県議会の九州新幹線早期本格着工促進議員連盟には、その都度御報告もし御意見をお伺いしてきたところでございます。  また、沿線市町につきましては、三者協議の結果をその都度御報告しますとともに、二回にわたり沿線市町長等と意見交換を行ったところでございます。私といたしましては、第三セクターで運営することによって在来線のレールを残すことができ、経費の大幅な削減や利便性の確保が図られること。そして、その運営は県が中心になって運営するとの考え方を説明をいたしまして、その結果、JRからの経営分離はやむを得ないということで、全体としては了解をいただいた次第でございます。  これらの経緯を経まして、十二月一日の熊本県知事、JR九州社長との三者会談を行いまして、ここで経営分離について合意をいたしますとともに、JR九州の第三セクターへの協力の約束をいただいたところであり、その内容を即日事務的には運輸省へ連絡をいたしたところでございます。運輸省においては、在来線問題という最大の懸案の処理状況について、経営分離区間やその後の住民の足の確保に関する県の考え方等について状況説明を求めてきておりまして、県としては本日までの状況を取りまとめて報告することといたしております。  今後の見通しでございますけれども、九州新幹線鹿児島ルートの建設促進につきましては、御承知のように、平成三年度の政府予算の概算要求におきまして、運輸省が鉄道整備基金の創設や着工調整費として百二十五億円の公共事業費を要求いたしますなど、鹿児島ルートの本格着工につながる予算要求を行っておるところでございます。本格着工を実現するためには、地元としては並行在来線を整理するというハードルを乗り越えなければならなかったのでございますが、鹿児島ルートにつきましては厳しい選択ではございましたが、第三セクターによってレールを残すことにより、JR九州からの経営分離を受け入れることを熊本県ともども決意をいたしたところでございます。こういった厳しい選択をいたしたことによりまして、新幹線建設への最大のハードルはクリアできたものと考えておりまして、平成三年度におきましては、新幹線建設に向けた県民の一体となった長年の運動が実を結ぶものと期待をしているところでございまして、明年度予算編成に向けて、県議会初め県民の皆様と一体となって最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  なお、鹿児島ルートの建設にかかわる地元負担についての関係地方団体の範囲及び地元負担割合等につきましては、本格着工が決定されました後、関係者と十分協議を行って早急に適切な結論を得たいと考えております。 5 ◯企画部長(中村利雄君)地域別振興方向につきましては、去る十一月二十九日に総合開発審議会計画部会で、県央地域など七つの地域ごとにそれぞれ現状課題、発展方向、施策の基本方向、分野ごとの事業展開について案をお示ししたところでございます。  各地域ごとの基本的な発展方向、これは各地の特徴を踏まえまして、四つぐらいずつの方向づけをしているわけでございますが、主要な事業につきまして例示的に申し上げますと、県央地域につきましては、施策の基本方向としまして、高次の都市機能の整備による交流拠点の整備、快適な都市生活のための環境整備などを挙げております。主要な事業といたしましては、錦江湾ウォーターフロントの整備、例えば、鹿児島本港区の施設整備、大型観光船埠頭の整備などが挙げられます。さらに、鹿児島空港都市の交流拠点施設の整備等でございます。  南薩地域につきましては、施策の基本方向としまして、農林水産業等地域産業の高付加価値化、自然などを生かした観光リゾートゾーンの形成などを挙げております。また、主要な事業といたしまして、サンオーシャンリゾート構想の推進、フラワーパークの施設整備、活魚流通システムの整備などを挙げております。  北薩地域につきましては、施策の基本方向としまして、高速交通体系の整備による広域交流ネットワークの形成、農林水産業の多彩な産地づくりや工業の振興などを挙げております。主要な事業としては、活魚流通システムの整備、北薩広域公園の適地調査などが挙げられております。  県中北地域につきましては、施策の基本方向としまして、特地性を生かした農林業の振興、多様な交流を生む観光リゾートの開発や文化ゾーンの形成などを挙げておりまして、主要な事業としましては、国際音楽ホールの建設など、霧島国際芸術の森の整備などを挙げております。  大隅地域につきましては、施策の基本方向としまして、農林水産業の発展、特性を生かしたリーディング産業の創造などを挙げております。主要な事業としましては、志布志港の整備、県産材ブランド拠点の整備、アジア太平洋農村研修村の整備などを挙げております。  熊毛地域につきましては、施策の基本方向としまして、特性を生かした産業の振興、環境学習や宇宙科学の拠点の形成などを挙げております。主要な事業としましては、新種子島空港や西之表港などの整備、サンオーシャンリゾート構想の推進、屋久島環境文化村の整備などが挙げられます。  奄美地域につきましては、施策の基本方向としまして、農林水産業や地場産業の振興、複合型観光リゾート空間の形成などを挙げております。主要な事業としましては、国道五十八号等の道路整備、名瀬港などの整備によるクルージングネットワークの形成などを示したところでございます。  次に、経済成長率と事業費でございますが、経済成長率につきましては、国の長期経済見通しや本県の産業構造を踏まえた上で、今後の企業立地の促進や観光リゾートなどによる民間設備投資の増加、農業を初めとする地域産業の高付加価値化などを見込みまして、今後十年間の年平均成長率を四・二%程度としたものでございます。特に、第一期実施計画のみの試算はしていないわけでございますけれども、第一期実施計画の期間中の成長率につきましても同様に考えているところでございます。また、事業費につきましては、第一期実施計画の総事業費、その中での県予算計上べースでの事業費をお示ししたいと考えておりますが、変動の可能性の大きい事業費のものにつきまして、なお鋭意検討を進めているところでございます。 6 ◯山本孝一君 自席から、新幹線等の問題についてさらに確認をするために、御質問を申し上げたいと思います。  今までの御答弁で、九州新幹線については、いよいよ正念場を迎えたと思うわけであります。しかし、JRからの分離を余儀なくされる阿久根市など、北西薩地域の沿線市町村における不安というのは、やはりまことに大きいものがあると思います。特に、私も代表質問者の立場を離れまして、沿線住民の一人としても同じような心配をやはりしているわけであります。  かつては、活気のありましたこの地域が、いまや今度の国勢調査の状況を見ましても、人口は大きく激減しております。しかも、商店街も深刻な状況に追い込まれておる。また、交通の面から見て、出水から鹿児島までは自動車で一時間半で来られますのに、阿久根からは二時間もかかる。空港までの時間も同様な状況に阿久根はございます。このような中での並行在来線の問題でありますから、住民の心配を取り除くためにも、知事は県が中心となって第三セクターを設立し、利便性の向上を図られるとともに、その振興にも最大限の努力をされる旨、先ほど御答弁があったわけであります。  地域におきましては、交通基盤の整備、特に南九州西回り自動車道の阿久根インターの早期な予定地の決定、あるいは県道阿久根・東郷線の整備改良、そうしたことも要望しておりますし、あわせて地域の活性化のための沿線各市町について、それぞれ、これは市町村でありますが、市町村についてそれぞれ特性を生かし、海洋性観光レクリエーション基地とか、先ほどお示しのありました高速交通ネットワークの整備とか、農林水産物の振興とか、工業の振興という抽象的なことでなくて、地域に何とかして、そうしたものの集積といいますか、豊富な資源を生かした産業振興の策等を取り組んでいただきまして、県の積極的な取り組みと御支援が必要であると、私は思うわけであります。知事の具体的なひとつ御答弁が欲しいわけでありますが、よろしくお願いをいたします。 7 ◯知事(土屋佳照君)私は、鹿児島県全体の浮揚のために、新幹線建設はぜひとも促進したいと思っております。それだけに、今回第三セクター化される地域についてはいろいろな配慮が必要だろうと、私も考えております。したがいまして、今後いろいろ例示もされたわけでございますが、例えば阿久根・東郷線といったような地域の幹線道路の整備とか、さらには南九州西回り自動車道の整備促進といったようなことなどによりまして、地域の活性化を図っていく必要があると、私も思っております。  また、地域の特色を生かした漁港の整備とか、活魚流通センター、お魚センターなどの設置ということも考えられるんじゃないかと思っておりますし、さらには観光や地場産業の振興等につきましても、関係市町村とも連携と取りながら、市町等の連携を取りながら、市や町の活性化対策などに、積極的に私も協力をしてまいりたいと思っております。    [山本孝一君登壇] 8 ◯山本孝一君 財政問題等について御答弁をいただきました。  お答えいただいたように、県の財政をめぐる客観情勢は決して安心のできる状態にはないわけでありますが、国に対する要望を強め、歳入の確保に努められるとともに、平成三年度の予算編成など、土屋県政の本格的なスタートに向けて、さらなる御尽力をお願いするものであります。  九州新幹線については、いよいよ予算的に最後の詰めの段階でございます。平成三年度の本格着工予算は、何としても絶対に確保したい。そのため、私どもも先月の二十六日に自民党本部で総決起大会を開催し、気勢を上げたところであります。  また、第三セクターヘの移行に伴う不安を解消し、沿線住民の理解と納得を進めるため、知事から御答弁のとおり、沿線地域の発展方策について、十分お考えの上対処をしていただきたい。そうして、第三セクターによって従来よりもむしろよくなったと言われるように、強くお願いをいたしておきます。  また、実施計画についてお答えをいただきましたが、その基本は、全国を上回る県勢発展の道を講ずることであります。県内における各地域の均衡ある発展であります。この点、現在策定中の実施計画案における地域別の振興方向策定の意義の中に「県土の均衡ある発展」という表現がなされていないほどに、これに対する配慮の不足をいささか私は懸念をするものであります。  そこで、全体的に従来の総合計画を大幅に上回る事業費を確保されるとともに、離島や過疎地域の振興にも十分配慮された計画を通して、九〇年代の力強いスタートが切られるようお願いをいたしまして、次の質問に入ります。  まず、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉についてお尋ねをいたします。  ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は、交渉期限を今月末に控え、今まさに大詰めの段階を迎えていますが、最大の交渉課題である農業分野において、米国とECの保護削減案の隔たりが大きく、解決への糸口が見つからないまま、年内決着が危ぶまれております。  この中で、我が国の最大の関心事である米の市場開放問題については、米国の市場開放要求が依然として厳しく、いまだ米の国内自給について何ら保障が得られず、農業者を初め国民ひとしく交渉の行方を見守っているところであります。  また、米の陰に隠れたでん粉については、関税化による自由化の方向が伝えられるなど、予断を許さない状況下にあるようであります。  そこで、お伺いする第一点は、政府が去る九月の二十八日、ガット事務局に提出をした日本の農業保護削減計画案、いわゆるオファーによりますと、米、小麦、大麦の穀物三品目については、保護総額を今後七年間で五・四%削減するとなっております。今後の米価あるいは減反政策への影響等が懸念されますので、今回の我が国のオファーについてどのように受けとめ、またこれを踏まえた農業交渉の結果について、どのような見通しを持っておられるのか、お聞かせください。  第二点は、先般農林水産省は、輸入自由化等により米の国内生産額が三〇%減少した場合、国内総生産に一・五%の影響があるとし、この影響は第一次オイルショック時の〇・二%を上回り、稲作に依存ないし関連する他産業への広がりが予想以上に大きいことを示しております。地域経済に深刻な影響を与えることを明らかにしておるわけであります。  農業粗生産額が全国第四位で、農業への依存度が高い本県の経済にとって、米自由化の影響が強く懸念されますので、今回の調査結果による本県関係分の影響と、これに対する認識についてお伺いをいたします。  第三点は、自主流通米の生産が急増する中で、米の価格に市場原理を導入すべく、先般約半世紀ぶりに自主流通米の取引市場が東京と大阪に開設されました。入札結果は、新潟のコシヒカリが最高値で取引をされた反面、関東産コシヒカリやササニシキ等が値を下げ、またあきたこまちや北海道のきらら三九七など、各県が独自に育成販売強化した米が高い評価を受ける結果になったようであります。  このたびの入札に本県産米は参加しておりませんが、入札結果は今後の米づくりの方向に重要な示唆を与えるものであると思います。知事は、今回の入札結果をどのように評価し、今後の本県稲作振興の方向についてどのようにお考えになっておられるのか、お聞かせ願いたいのであります。  次に、安全で健康な農水産物の生産供給についてお尋ねをいたします。  この夏、アメリカ産の輸入レモンから、猛毒ダイオキシン等を含み、発がん性のある二・四Dの残留農薬が検出され、デパートやスーパーの売り場から輸入レモンが一斉に姿を消すとともに、今まで見向きもされなかった国産レモンに注文が殺到したということであります。  一方、国内農業においても、生産性の向上と姿や形を重視した品質向上を急ぐ余り、過剰とも言える農薬及び化学肥料の多用による農産物の安全性や農業のあり方が問題となってきております。  そこでお尋ねをいたします。
     第一点は、総合基本計画で食の創造拠点かごしまの形成を目指す本県として、食品供給者の立場から、安全健康な農産物や水産物の供給について、確固たる哲学と方向性を持つことは当然と考えますが、これが基本的考え方について、御所見をお聞かせ願いたいのであります。  第二点は、県において平成元年度から有機農業実態調査を実施しておられますが、これまでの調査に基づく本県における有機農業の実態とこれが課題及び今後の具体的取り組みについての考え方を明らかにされたいのであります。  第三点は、先月西之表市の塰泊地区において、カンショを食い荒らす特殊病害虫アリモドキゾウムシが約二十年ぶりに発生をしていることが確認をされました。カンショは本県の基幹作物であり、発生地域が広がらないよう、現時点での防除等への取り組みと、今後の根絶のための対応について明らかにされたいのであります。  第四点は、魚介類の安全性についてであります。  環境庁が実施した有機すず化合物汚染生物のモニタリング調査結果によりますと、薩摩半島西岸で採取されたスズキから、厚生省の定める一日当たり許容摂取量の約六倍にも達する高い濃度が検出されております。直ちに人の健康に影響するものではないということでありますが、県産魚のイメージダウンにつながるものであり、有機すず化合物の使用禁止の徹底を図るべきであると考えますので、これが指導についてどのように取り組んでおられるのか。  また、養殖魚でも薬の多用あるいは過密飼育等により養殖魚の安全性が心配されていますので、その安全性確保についてどのような対応がなされておるのか、お尋ねをいたします。  次に、石川島播磨重工業の進出問題についてであります。  この問題の出発は、昭和四十八年の工場立地協定にさかのぼるわけであり、この議会にとっては、整備新幹線とともに、五期に及ぶ長い間の懸案事項であります。直接雇用三千人、関連企業を含めて六千人の男子雇用型企業の進出に大きな期待を持ったわけでありましたが、その後の情勢の変化に伴い進出延期が繰り返され、ようやく六十年四月から操業が開始されましたが、全体のごく一部にとどまったことから、県議会としても本格的立地進出について要望決議を会社に提出したり、石播本社を訪問したりして、用地の活用を要請してきたところであります。  私ども昭和六十三年十二月に提出された計画の着実な実現を首を長くして大きな期待を寄せている中で、バイオ研究施設の一年以内着工がおくれていたところに、今回十一月十六日付の第二次計画の提出であります。会社側として精いっぱいの努力をしておられることはわかるわけでありますが、たび重なる計画の変更は県民の企業への不信を招き、まことに遺憾と言わざるを得ません。  今回、バイオ関係施設の設置は極めて困難であると判断して断念したその理由として、この事業分野はまだ若く、不確定要素が多い上に、会社にとって全く新しい分野であることがうたわれておりますが、これは既に計画書提出の時点で十分わかっていたことではないでしょうか。また、今回の第二次計画も、絵にかいたもちにすぎないのではないか。  そのような前提のもとにお尋ねをいたします。  第一点、知事は、今回の第二次計画についてどのように受けとめておられるのか、あわせて現在の鹿児島工場の雇用状況と最近の経営状況についてお示しをいただきたい。  第二点、今回の計画による二十万平米を含めても、利用面積は三十七万五千平米、全面積の二八%にすぎません。残地の活用について会社側は、来年七月までに提出される日本立地センターの検討結果は特に期待をせず、専ら会社本来の事業の拡充中心に考える方針のようでありますが、残った七二%、九十五万平米の今後の利用について、利用計画をいつごろ提出の見込みであるのか、そのことを確認をされておられるのか、お伺いをいたします。  第三点は、今後とも計画のさらなる拡充を要請するとともに、第三者機関の検討結果をも踏まえ、また県としても単に会社側の動きを見守っているばかりでなく、貴重な県土の有効利用を促進する立場から知恵を搾り、残地の早急な全面利用を促進すべきであると思いますが、知事の御所見を伺います。    [知事土屋佳照君登壇] 9 ◯知事(土屋佳照君)まず、ガット・ウルグアイ・ラウンドでの農業交渉におきまして、我が国は米、小麦、大麦の穀物センターと砂糖及び牛乳、乳製品に関し、一九八六年を基準として、一九九六年までの間に農業支持と保護の総合的な計量手段でありますいわゆるAMS値を三〇%削減することを基本とするが、一九八九年までの削減実績などを踏まえて、米、大麦、小麦の穀物セクターについては、今後七年間でAMS値を五・四%削減するという内容のオファーを提出したと承知をいたしております。  このオファーにつきましては、交渉促進のために、アメリカ、ECなど諸外国に先駆けして提出したものでありまして、内容的にも基礎的食糧及び輸入制限品目は関税化すべきではないという我が国の交渉の基本的立場を踏まえますとともに、我が国として新ラウンドの成功のために、最大限努力し得る限界を示したものと理解をいたしております。  ガット・ウルグアイ・ラウンドにつきましては、十二月三日から、御承知のようにブリュッセルで閣僚会議が開かれておりまして、最終局面を迎えておりますが、県としては、米、でん粉の輸入制限の取り扱いなど、本県農業と密接な関係を持っておりますことから、引き続き農産物の市場開放阻止につきまして、国に対し強く要請を続けながら、交渉の推移を見守っているところでございます。  また、私どもといたしましては、今後とも低コスト高品質農業の推進によりまして、国際化に対応した競争力の強い農業の確立に努めてまいりたいと考えております。  また、私は安全な食糧を消費者に安定的に供給することは農林水産業の基本的な役割であり、農民の健康な生活を確保する上から極めて重要であると認識をいたしております。  このため、県総合基本計画戦略プロジェクト、食の創造拠点かごしまにおきましては、重点施策でありますかごしまブランドの確立に当たりまして、消費者の本物志向、健康志向、安全性への関心の高まりなど、ニーズの多様化に対応して推進することとしているところでございまして、今後ともこのような基本的考え方に立って、安全で良質な食糧の安定供給に努めてまいりたいと思っておるところでございます。  ちょっと前後いたしましたが、その前に自主流通米についてのお尋ねがございました。今回の自主流通米価格形成機構によります入札につきましては、全国的な豊作予想を背景に、人気が集中した銘柄があります一方、売れ残った銘柄もありますなど、銘柄間で需給状況や消費者ニーズなどを反映した入札結果があらわれておりまして、うまい米づくりへの要請が全般的にさらに高まってきているなという感じで受けとめております。  県といたしましては、生産者団体と一体となって、コシヒカリのより一層の早進化とヒノヒカリの普及定着を図りながら、消費者ニーズに的確に対応したうまい米づくり、売れる米づくりを推進するよう、さらに努力をしてまいりたいと考えております。  次に、石播から示されました第二次鹿児島工場建設計画は、同社の本来事業の一つであります陸上機械部門につきまして、今後長期的な需要増が見込まれるようになったことから、鉄骨、橋梁、タンクなど、大型鉄鋼構造物の新たな生産拠点を鹿児島の地に築こうという趣旨のものでございます。  この計画によりますと、二十ヘクタールの用地を使い、約百億円の投資により工場を建設し、平成四年十月には操業を開始するということになっております。  なお、従業員としては、協力工場を含め約百四十人の規模となっております。  私といたしましては、この計画は、計画それ自体は本県産業の活性化、特に工業技術の振興や雇用機会の創出につながるものであると受けとめておりまして、早期実現を期待しているところでございます。  また、現工場の従業員は九十四人ということでございまして、現在の経営状況は、近年の内需、公共投資を中心とした設備投資の増加などの好影響によりまして、売上高、受注高とも順調に伸びてきており、経常利益も六十二年度以降は黒字に転じておると聞いております。  第二次鹿児島工場建設計画が実施されても、依然として約九十五ヘクタールの広大な土地が用地が残されることになるわけでありますが、石播としては、当面第二次鹿児島工場の建設に全力を注ぎたいとのことでありまして、残念ながら今のところ、残地の利用計画についての提出時期は明らかにされておりません。石播としては、鹿児島工場用地は、同社の生産拠点として本来事業を展開する重要な土地と位置づけておるということでございまして、今回の第二次鹿児島工場建設計画もそういった認識のもとに展開されるものであるという説明を受けております。  そうしたことから、残地利用につきましては、石播としては、会社の将来にとって極めて重要な土地であるので、その利用方法はみずから決定したいとの意向を示しております。  したがいまして、県としては、石播に本県の発展に寄与するような具体的な計画を一日も早くつくってもらい、全面的な土地利用が図られるよう、重ねて強く要請してまいる考えでございます。 10 ◯農政部長(山中 正君)米の国内生産が三〇%減少した場合の本県への影響についてでございますが、この調査によりますと、米の生産額が一律三〇%減少した場合、肥料、農薬、農業機械など米生産に関連いたします産業も含めまして、本県の県内総生産は六百十三億円が減少すると試算されておるところでございます。  また、本県の農家に占めます水稲栽培農家の割合は七二%にも及んでおりますので、農業経営基盤が水稲と園芸、畜産をあわせました複合経営でありますことや、水田が国土や自然環境の保全に大きな役割を果たしておりますことなどから、本県農業及び地域経済はもとより、農村社会に及ぼす影響は極めて大きいものと認識をいたしております。  したがいまして、県といたしましては、今後とも機会あるごとに国に対し国内自給方針を堅持し、市場開放は断固阻止するよう強く要請してまいることといたしておるところでございます。  次に、本県におきます有機農業の実態調査結果でございますが、いわゆる有機農業を行っておる事例は十四件ございます。そのうち、農薬や化学肥料を全く使用していない事例は五件でございまして、残りは極力使用量を減らしたものということになっております。  生産物の取引先は、特定の消費者グループや生協等でございますが、通常のものよりも高値で取引されておりますものの、本県のように高温多湿の地域では、病害虫や雑草の発生が多いために、外観や品質が劣っておりまして、収量が低くなっております。  また、除草に多くの手間がかかりまして、規模拡大が困難であるということなど、一般栽培に比べますと栽培技術や経済性に多くの課題が残っておるところでございます。  したがいまして、県といたしましては、土壌の深耕や堆厩肥の使用によります土づくりと天敵、フェロモン、ウイルス利用等の生物的防除の推進に努めますとともに、今後部内に有機農業に関する研究組織を設けまして、減農薬栽培技術の確立など試験研究の強化を図りながら、安全な農産物の生産指導に努めてまいることといたしておるところでございます。  次に、去る十一月二日に発生が確認されましたアリモドキゾウムシにつきましては、国の植物防疫所を初め地元関係機関、団体の協力をいただきまして、発生範囲の確認調査を行いますとともに、直ちに芋づる、くず芋等は焼却または埋め込み処分の指導を行い、カンショ等は発生地区外への移動の自主規制を行うなど、緊急対策を講じたところでございます。  さらに、十一月十七日付で県アリモドキゾウムシ防除条例に基づきます発生地区及び警戒地域の指定、告示を行いますとともに、アリモドキゾウムシ防除員の任命を行ったところでございます。  なお、現地におきましては、県及び関係機関、団体からなります熊毛地域アリモドキゾウムシ防除対策協議会を設置いたしまして、移動規制や防除対策等を地域一体となって鋭意推進中でございます。  これらにつきましては、緊急に措置する必要がございましたので、このために必要な予算につきまして、十一月二十一日に専決処分を行いまして、今議会に御報告を申し上げておるところでございます。  今後の根絶対策につきましては、国とも協議を進めながら、引き続きフェロモン利用及び薬剤による防除、野生寄主植物の除去等の防除対策を実施いたしますほか、発生地区での他作物への転作指導、未発生地域へのカンショ等の移動の規制など啓蒙指導を行いまして、早期根絶に努めてまいることといたします。 11 ◯林務水産部長(有水弘明君)魚介類の安全性について、お答え申し上げます。  環境庁の平成元年度生物モニタリングにより、薩摩半島西岸のスズキから検出されました有機すず化合物につきましては、お話のとおり、現時点で直ちに人間の健康に問題を生ずることは考えられないと中央公害対策審議会が評価しているところであります。  有機すず化合物につきましては、昭和六十一年秋、漁網防汚剤に含まれるトリブチルすずオキサイド、いわゆるTBTOによる環境汚染が社会問題となったところであります。本県の魚類養殖では、以前から金網いけすを使用しておりましたため、ほとんど使用の実態はありませんでしたが、引き続き使用自粛を強力に指導してきたところであります。  また、船底塗料に含まれていたトリフェニールすず、いわゆるTPT等の有機すず化合物は、昭和六十三年指定化学物質に指定されたため、漁業関係者に対し、有機すず化合物を含む船底塗料の使用自粛も指導してきたところであります。  これらは、平成二年には第二種特定化学物質に指定され、一層規制が強化されることになり、国は有機すず化合物を含む漁網防汚剤や船底塗料を原則使用禁止するということで行政指導を行ったところであります。  県といたしましては、今後ともその使用禁止措置の徹底を図りながら、本県産魚介類の安全が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、養殖魚の安全性の確保についてでありますが、本県では、魚類養殖が盛んになり始めました昭和五十三年に、全国に先駆けまして魚類養殖指導指針を定め、適正養殖による健康で安全な魚づくりの行政指導を行ってきたところであります。  また、水産試験場におきましては、定期的な巡回指導のほか、魚病の診断や薬剤感受性試験により、適切な水産用医薬品の使用等について強く指導をしてきております。県漁連や県かん水養漁協会も、みずから残留医薬品検査や養殖講習会、養殖実態調査等を行い、養殖魚の品質管理に努力をしてきております。  なお、これまでの県の調査結果では、出荷された養殖魚から、医薬品の残留は一度も見られておりません。本県の養殖ブリは、市場で高い評価を得、鹿児島ブリとしてブランドが確立しておりますので、今後とも安全で一層良質な魚づくりの指導に努めてまいる考えであります。 12 ◯山本孝一君 ここで、再質問をお許しをいただきたいと思います。  石播問題について御答弁をいただいたわけでありますが、十分納得のいかない面がございます。自席から質問をいたします。  石播用地の残用地の利用計画でありますが、市に対しても利用計画の提出期限は申し出てないということであります。しかも残地利用を含めた日本立地センターの検討結果が出たとしても、これを利用しないで、本来の事業の目的のために使うんだという方針が示されておるだけと、こういうことでございます。  このような情勢に対しまして、世間では石播は身勝手だとか、今後何十年ペンペン草を生やしているのかといった声等がございまして、会社への不信というのがやはり大きいものがあるようでございます。やはり知事としては、七二%に及ぶ未利用地の利用について、期限をつけて石播本社にもやはり要請をしていかれるべきではないかと思いますが、その点についてどうお考えか。  また、残地の利用について御答弁をいただいたわけでありますが、石播所有の残用地を現時点で買収をして、改めてあの付近の開発計画を見直すお考えはないかどうか。  また、新潟の日石や大分の三井造船では、未利用地の残地をゴルフ場等に利用している事例が、会社側にさしているんだと思いますけれども、そういう事例がございますが、現時点において、発想の転換を行って、県民の運動広場とか憩いの広場というようなことで使わせてもらえるように会社に交渉されるお考えはないか、その辺もあわせてお伺いをしたいと存じます。 13 ◯知事(土屋佳照君)石播といたしましては、最近の社会経済情勢から判断をされまして、本来事業の一つであります陸上機械部門の拡充の方向で有効利用を図ることを決断されたものであると受けとめておりまして、私としては、まずは早急に、また確実にこの計画を実施してもらいたいものであると思っております。  ただ、広大な残地の利用計画につきましては、御指摘の気持ちも私も十分理解できるわけでございまして、これまでも繰り返し一日も早い全面的な利用が図られますよう要請してきたところでございまして、期限をつけて提出を求めることはいかがかと存じますが、引き続き石播に対して強く要請をしてまいりたいと考えております。  また、この土地の利用につきましては、私も石播の意向をいろいろといろんな角度から確かめてまいったのでございますが、石播としては、この土地は本来事業の重要な生産拠点として保有していきたいとの強い意向を持っておられると受けとめましたので、結局石播の責任において本来事業用地として早急な利用が図られるべきものであるとの見地から、さらに強くこの計画の進め方について私も要請をしてまいりたいと、かように考えております。    [山本孝一君登壇] 14 ◯山本孝一君 農業問題や石播の進出問題等について御答弁をいただきました。  石播の進出問題につきましては、石播自体の土地でありますが、一方県民のための貴重な財産であると思います。今回の第二次計画は、石播を取り巻く絶好の条件下における第二次計画であり、着実に実行されるよう心から期待をし、引き続いて注目をしてまいりたいと思います。  また、広大な残地の利用については、錦江湾ウオーターフロントに残された大事な県土の有効利用という立場から、やはり先ほど御答弁もございましたが、積極的な知事の対応を求めてまいりたいと考えております。  また、ガットのウルグアイ・ラウンド農業交渉につきましては、今のところほとんど解決のめどもついていない段階でありますが、米及びでん粉に及ぼす影響は大きいので、最善の決着を期待して、次の質問に入ります。  まず、消防防災対策についてお尋ねをいたします。  本年は台風が十九号、二十号、二十一号と相次いで襲来し、死者十三名、負傷者五十七名という痛ましい犠牲者が出たのを初め、公共土木施設や農林水産被害等総額で三百五十九億円余りという甚大な被害を受けました。県においては、早速九月議会で四十九億余万円の補正予算措置を行い、復旧に着手されたところでありますが、現在の復旧状況はどのようになっているのか、今後の見通しを含めてお答えをいただきたい。  第二は、先般十月一日から三日まで本県において開催された国際防災の十年国際会議についてであります。この国際会議は、台風十九号、二十号と立て続けに襲来した直後にもかかわらず、これら災害対策と並行をしながら、関係者の懸命な努力によって成功裏に終了したことに対し、心から敬意を表します。  そこで、災害常襲地帯の県民として、この国際会議に対し深い関心を抱き、大きな期待を持っていた立場から、本県にとってどのような意義、成果があったのか、お伺いをいたします。  第三は、消防の実態と体制の強化についてであります。  我が国の消防は、昭和二十三年に自治体消防として新たな発足をいたしまして以来、四十数年を経過したところでありますが、この間、常備消防及び消防団は、本来の消防活動はもちろん、風水害等の防災活動の面においても極めて重要な役割を果たし、民生の安定に寄与されてきたことは、各位よく御承知のとおりであります。特に消防団員の皆さんは、多忙な生業を営む傍ら、旺盛な責任感をもって、日夜を問わず地域住民の生命財産を守るために献身的に精励していただいているわけでありまして、この機会に深く敬意と謝意を表したいと存じます。  しかしながら、本県における消防団員は、昭和二十四年には二万六千人余りであったものが、現在一万七千人余りに減少してきており、団員の高齢化が進行し、さらに団員の確保も困難となっているのが実情でありまして、このような中で、その活性化を推進することが喫緊の課題となっているわけであります。  そこでお尋ねでありますが、県下市町村の消防団の実態と今後の望ましいあり方をどのように認識して体制の充実強化を図ろうとしておられるのか、また常備消防も県下九十六市町村をほぼ網羅するに至ったと思うのでありますが、常備消防の枠組みの中に入っていない町村が何町村になっているのか、未加入町村対策についてあわせてお伺いをいたします。  第四は、旅館、ホテル、百貨店等の防火管理体制の強化についてであります。  本県においても、近年高層ビルなどが増加しているところでありますが、消防庁の定めました防火基準適合表示、いわゆるマル適マークの交付率は、平成二年三月末において、全国平均を下回る六二・八%となっており、中でも百貨店やスーパー等は五一%、半数は防火上の欠陥があるということであります。マル適マーク制度が発足をしてから十年目、後から追加された映画館や集会場、百貨店等についても、八年目を迎えてこのような状態では、なかなか安心して利用することはできません。どうしてマル適マークの交付率が低く、かつおくれているのか、早急に消防機関並びに担当行政機関と連携を図って指導を徹底され、期限を決めてこれが推進を図るべきではないでしょうか。本県におけるマル適マーク対象施設に対する指導の強化策についてお伺いをいたします。  次に、新教育委員長の抱負と情報化に対応する教育の推進等についてでありまして、まず十月二十二日付で新しく就任された高崎教育委員長にお伺いをいたします。  今日、教育に寄せる期待はまことに大きいものがありますが、近年における社会の急激な変化は、教育のあり方にも大きな影響を与え、学歴偏重の社会的風潮や受験競争の加熱化、そして青少年の問題行動や学校教育の画一化、硬直化などさまざまな問題が指摘されるに至っており、また一方では産業就業構造の変化や情報化、国際化の進展などに対応する教育の実現が強く求められております。  そこで私どもは、これら教育の現状や時代の変化、進展を踏まえ、二十一世紀を担う青少年が個性と能力を伸ばすとともに、すべての県民が生涯にわたってみずからを啓発し、健康で文化的な生活を営めるよう、教育改革を再重点政策の一つとしているところであります。この教育改革に主体的に取り組んでいただくのは教育委員会であります。県民の大きな期待にこたえ、あしたを開く教育の充実と魅力ある文化的風土づくりに積極的に取り組んでいただく、すなわち信念と活力にあふれる教育委員会の姿を強く求めてやみません。  ついては、新教育委員長は、教師の目の高さは子供の目の高さと同じでなければならないという教育理念のもとに、学校現場で長い間子供たちの教育に携わり、また校長として学校経営の経験をお持ちでありますので、今日の教育をめぐる現状認識とこれを踏まえた本県教育ヘの抱負をお伺いをいたします。  また、具体的な問題として、先月鹿児島市の某中学校で校長が生徒を告訴した事件については、学校における教育指導の限界を越え、苦悩の末の選択であり、やむにやまれない判断と思うのでありますが、結果についていろいろ識者の意見が交わされております。そこで、教育の根本にかかわる問題でもあり、教育長の見解を伺います。  また、このような学校現場の乱れの目立つ中学校に対していかなる対応を考えておられるのか、あわせて御答弁を願います。  次に、去る四日、栗野町立の某小学校教頭が、人倫にもとり、脅迫というハレンチな行為で逮捕された事件についてであります。少なくとも管理職たる教師がこのような事件を引き起こしたことは遺憾極まることであり、容認できることではありません。教育長の御所見を伺います。  続いて情報化問題でありますが、近年コンピューター等が急速に職場や家庭に入り込み、日常生活にも大きな変化をもたらして、情報化はもはや一部の限られた分野の人々の問題でなく、県民、国民というより、国を越えた世界的な問題となってきております。そこで、二十一世紀に生きる子供たちは、コンピューターを自由に操作できるようにならなければなりません。  ところが、県内の公立学校における教材用のコンピューター導入は、小学校で七四%、中学校で八〇%、高校で九九%と広く導入はされてきましたが、一校当たりの平均は小学校で三・八台、中学校で六・七台、高校でも二十三・七台にとどまっております。  しかも、教師のうち子供にコンピューターを指導できるのは全体の七・六%、何とか操作できる方まで含めても一三・三%という状況であるようであります。今後新しい学習指導要領によると、情報教育の実施が小学校は平成四年度、中学校は平成五年度、高校は平成六年度からとなっていることから、明確な目的意識と計画性のもとに、早急なコンピューター等の整備と教員研修の充実強化を努める必要があると考えます。  そこでお尋ねする第一点は、情報化に対応した学校教育のあり方と学校教育の中における情報教育の進め方についてであります。  また、その中で平成元年度までの試行的なコンピューター導入のためのコアラ計画に続いて、今後の本格的な情報教育の実施に即した情報教育に関する総合的な基本計画が必要のように考えますが、いかがでございましょうか。  第二点は、今後あらゆる文教施設をネットワーク化し、地域への開放の可能性を検討し、本県教育の一つの柱である地域に根差した生涯教育の拠点として整備すべきではないか。また、現在の総合教育センター内の情報処理教育研修室を、教職員の研修や教材のライブラリー化、教育情報のデーターベースの構築等の拠点として、より一層拡充強化する必要があるのではないかと思いますが、御所見を伺います。  教育問題の最後は、来年度の公立高等学校の定員募集と養護学校の高等部設置についてであります。  先般発表をされた来春の中学校卒業予定者の進路希望状況調査によりますと、県内の公立高等学校希望者は二万三千八百六十人で、昨年と比べると鹿児島学区の四百人余りをトップに、出水、薩摩、大島学区でそれぞれ百人以上、全体でも千人余り減少をしており、これまで以上に公立高校への進路希望者の減少や定員に満たない学校や学科も数多く見受けられるようでありますが、来年度の公立高等学校募集定員の策定について、その基本的な考え方をお示しください。  また、養護学校の高等部については、予算面、その他において難しい面もあるかと思いますが、一人一人の子供たちに行き届いた教育を行うために、ぜひ前向きな検討をお願いするものでかります。  ついては、中学校の特殊学級や養護学校在籍者の進路希望調査の結果を明らかにしていただくとともに、今後の高等部設置の見通しについてお伺いをいたします。  次に、物価及び省エネ対策についてお尋ねをいたします。  初めに物価対策についてでありますが、これから年末、そして冬場を控え、灯油などの物価の動きが気になるところであります。しかも、イラクのクウェート侵攻から四ヵ月、当初は原油価格の急騰から第三次石油危機の到来も懸念されましたが、目下のところ日本の経済に大きな波乱は起きていないものの、物価はじり高の様相を見せております。  そこで、当面する物価の動きについて、経済企画庁の物価モニター調査など、最近の調査結果を踏まえて、本県における生活関連物資の価格動向と需給状況をどのように認識しておられるか、また、これから年末年始の需要期に向けて、どのように対応していかれるのか、お伺いをいたします。  次に、省エネ対策につきまして、国は十月二十九日に冬のエネルギー需要期に備えた省エネルギー対策を決定しましたが、これに対する官民一体となった取り組みを要請する立場から、本県における当面の省エネ対策の進め方についてどのように考えておられるか、お伺いをいたします。  次に、水俣病問題についてお尋ねをいたします。  昭和四十年代に相次いだ四大公害裁判のうち、新潟水俣病、四日市大気汚染、そしてイタイイタイ病は、いずれも訴訟から四、五年後の判決を期に被害者救済に向かったところでありますが、この水俣病について、発見から三十四年を経過した今日、今なお多くの人々が被害者としての救済を求めております。公害の原点とも言われる水俣病も、一般の多くの人にとっては今や忘れ去られようとしておりますが、しかし年老いた被害者にとっては、今もなお悲惨な現実が続いているのであります。このことを考えれば、早期に解決することが望まれるわけで、国の政治的な判断を求めるものであります。  そこで、お伺いをいたします。
     第一点は、水俣病訴訟の約二千人のうち、東京訴訟の三百五十人を主体に、約四百人が本県の原告であります。知事は、かねて患者や家族の不安解消のため、精いっぱい努力すると述べておられますが、今回の一連の和解勧告をどのように受けとめ、どのように対応されるおつもりか。  第二点は、本県においても水俣病認定申請者の大半が棄却されているようでありますが、現在の認定等の状況はどのようになっているのか、また棄却された申請者に対する医療救済の実態はどのようになっているのか、お伺いを申し上げます。    [知事土屋佳照君登壇] 15 ◯知事(土屋佳照君)最初に、本県で開催されました国際防災の十年国際会議は、世界四十三ヵ国から九十一名の専門家を含め、五百五十五名の参加を得て開かれましたが、おかげさまで関係者の御支援、御協力によりまして、成功裏に終了することができました。  会議では、災害のより少ない二十一世紀を目指して、各国や国連等によります国際的な支援や国際協力の一層の強化の必要性が指摘をされまして、国際防災の十年の活動計画に反映されるべき具体的な課題として、防災知識の普及と防災意識の高揚、防災ボランティアの育成と組織化、また災害情報伝達手段の整備など、十五項目が明らかにされたところでございます。  県民生活と災害のかかわりが深く、災害に強い県土づくりを積極的に進めております本県におきまして、鹿児島国際火山会議に引き続き、国際防災の十年国際会議を開催できましたことは、県民の防災意識の高揚や知識の普及及び本県の防災対策の推進を図る上で、大変意義深いものであったと思っております。  また、この会議を通じて、これまで本県が国などに設置をお願いしております国際火山総合センターの必要性を、国内、国外の参加者に印象づけることができたと存じております。今後とも、関係者の協力を賜りながら、国等関係機関に対して要請をしてまいりたいと存じます。  次に、水俣病損害賠償請求事件に係る一連の和解勧告につきましては、和解によって早期解決を図ってはどうかという裁判所の強い意向が示されたものと受けとめております。本県は訴訟当事者ではございませんが、原告の中に本県関係者が多数含まれており、また水俣病問題の早期解決を念願しております立場から、国としても、これら裁判所の意向や地元の実情等を十分に検討されて、水俣病問題の早期解決に向けて適切な対応をとっていただきますよう、私からも環境庁長官を初め担当者の皆さんにも直接お願いをしてまいったところでございます。本県としても、引き続き水俣病認定業務に鋭意取り組みますとともに、地元の実情等を随時国に伝えていきますなど、水俣病問題の早期解快に向けてさらに努力をしてまいりたいと考えております。 16 ◯総務部長(襲田正徳君)九月から十月にかけまして発生した台風被害の災害復旧につきましては、緊急を要する箇所につきまして応急工事を実施するとともに、九月補正予算におきまして、台風十九号に係る分として約四十九億円を計上し、直ちに対応したところでございます。今議会におきましても、さらに台風二十号等に係る災害復旧費など七十三億七千八百余万円を提案をし、審議をお願いしているところでございます。今回の措置によりまして、現年発生災害復旧率は、農地・農業用施設で八二%、河川・道路で八五%、治山・林道で八三%などを見込んでおります。今後とも、引き続き災害の早期復旧を図ってまいりたいと存じます。  次に、消防団につきましては、常備消防と並んで地域社会における消防防災の中核として重要な役割を果たしておりまして、その活性化は重要な課題と認識をしております。本県の消防団員数は、平成二年四月一日現在で一万七千二十一人でございまして、昭和五十五年の一万七千九百二十六人と比べまして、毎年百人程度ずつ減少してきております。団員の年齢も、本県の場合、平均三十九・七歳でございまして、全国平均の三十五・二歳と比べ四・五歳高齢となっております。消防団員の減少及び高齢化につきましては、全国的な傾向となっておりますが、その対策として県におきましては、昭和六十三年度から、国の消防団活性化総合整備事業を導入をいたしまして、各市町村に対し、青年層、婦人層の消防団活動への参加促進や消防団の施設・装備の強化、また地域住民の理解を得るための啓発活動など、消防団の活性化対策を総合的、計画的に推進をするように指導をしているところでございます。  なお、国におきましては、去る十一月消防団活動強化検討委員会を設置をいたしまして、団員が勤務する企業の協力を得るための対策や企業の自衛消防隊と消防団との協力体制のあり方等を検討いたしまして、年度内に結果をまとめる予定であると聞いております。県としては、その結果等も踏まえながら、さらに消防団活性化対策を進めてまいりたいと存じます。  消防の常備化につきましては、これまでも逐次推進をしてきておりまして、平成二年度におきまして九十二の市町村が常備化をされております。残る非常備の町村につきましては、吉田町、桜島町、三島村、十島村の四町村となっております。このうち吉田町、桜島町につきましては、現在、鹿児島市と救急業務応援協定と消防相互応援協定を結んでおりますが、今後とも、常備化の推進につきまして関係市町と検討してまいりたいと存じます。  次に、本県のマル適マークの交付率は、平成二年三月末現在で六二・八%となっておりまして、全国平均の七〇・一%、九州平均の六四・七%に比べ低くなっております。これは資金の問題等も考えられますが、さらに防火意識を盛り上げていくことが必要であると考えております。旅館、ホテル等、不特定多数の者が利用するマル適マーク交付対象施設は、一たん火災が発生をいたしますと大惨事となるおそれがありますので、その防火管理体制の強化は特に重要な課題であると認識をいたしております。県といたしましては、これまでも消防本部等に対しまして、対象施設に対する年一回以上の立入検査の実施のほか、特別査察の実施や消防訓練の実施、また防火管理者資格講習会の開催や消防用設備等制度資金の活用等につきまして指導を行ってきております。今後とも、施設管理者等が防火に対する認識と自覚を一層深めていただくよう、各消防本部等に対しまして適切な指導を行い、マル適マークの交付率の向上が図られますようさらに努力をしてまいりたいと存じます。 17 ◯教育委員長(高崎能弘君)去る十月二十二日付で教育委員長に就任いたしました高崎でございます。県民の教育に対する期待が従来にも増して大きくなっているこの時期に、教育委員長に就任し、身の引き締まる思いでございます。微力ではございますが、鹿児島県教育の発展のために全力をもって職務を遂行したいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  まず、不祥事につきましておわびを申し上げたいと思います。  一昨日、子供たちに範を示すべき小学校教頭が、脅迫の疑いで逮捕されるという不祥事が発生いたしましたことを、まことに遺憾であり、極めて深刻に受けとめているところでございます。とりわけ当該学校の児童、父母の皆さん初め地域の方々、県民皆様の心情に思いをいたし、まことに申しわけなく、心からおわびを申し上げます。県民の信頼を回復するために、今後最善の努力をいたす覚悟でございます。  ところで、今日の子供たちは明るく行動的であり、自分の考えを素直に述べると評価できる面もたくさん見受けられます。一方、教育を取り巻く環境は大きく変化し、子供たちはもちろん、父母の考えや価値観が多様化いたしまして、家庭や地域社会の教育力の低下等も指摘されているところでございます。このような状況の中にあって、学校におきましては、生徒指導上の問題や登校拒否の問題などいろいろな問題も起こってきております。これらの問題に対処するためには、全教職員が一体となって教育に取り組むことが大事であると考えますし、学校、家庭、地域社会の三者が協力して教育力の向上に取り組んでいく必要もあると考えております。また、直接教育に当たります教師の資質の向上こそが最も大事であり、このことに教師は努めるべきであると考えております。  私もかって直接子供たちの教育に携わった者の一人として、教育指導の原点は、生徒の心情、行動の理解にあると考えておりますが、現在の児童生徒一人一人を十二分に理解するためには、教師の目を子供の高さに置くことが必要であると考え、これを起点にした教育の推進を図っていきたいもんだと考えております。幸い本県には、先人たちの築いてこられましたすばらしい教育の伝統や風土がございます。これらの伝統や風土を踏まえながら、全人教育、生涯学習を推進し、これからの社会を担う人材の育成に努めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。 18 ◯教育長(大田 務君)小学校教頭の不祥事のことについてでございますが、ただいま教育委員長がおわび申し上げましたように、一昨日、管理職である教頭があるまじき不祥事を起こしましたことは、まことに遺憾であり、深く心を痛めておるところでございます。当該学校の児童、父母の皆さんを初め、地域の方々や県民の皆様に御迷惑をおかけしたことはまことに申しわけなく、教育長として深くおわび申し上げます。  県教委としましては、このたびの事件を厳粛に受けとめまして、このような不祥事が二度と起こることがないよう管理職としての自覚を促すとともに、倫理観、職責観の高揚を図り、真に県民の負託にこたえることができるよう職員を指導し、信頼回復に向けて最善の努力をしてまいるつもりでございます。  次に、校長の告訴の件でございますが、今回の告訴の件につきましては、ガラスを破損しただけではなく、校長に対する暴力行為など一連の問題行動、さらに、これまでの学校の指導の経過を踏まえた上で、校長はやむを得ずこのような手続をとったものと理解しております。  学校現場の乱れの目立つ中学校への対応についてでございますが、県教委としては、これまでも生徒指導上困難な学校に対しましては、教員の特別な配置を含めいろんな施策を講じておりますが、今回のように生徒指導上極めて困難な事例については、今後、さらに市町村教育委員会と連絡をとりながら指導援助策の強化を図ってまいることにしております。  次に、情報化の問題でございますが、学校における情報化への対応につきましては、県教委としましては、コアラ計画によりすべての学校にコンピューターの導入を提唱してきたほか、現在県立高等学校におきまして、生徒二人に一台でコンピューター学習ができることを目標に機器の整備に努めてきておるところでございます。今後は、引き続き機器の整備を促進しますとともに、ソフトウエアの開発、教員研修の充実について総合的な取り組みを推進してまいることにしております。  特に情報処理教育センターにつきましては、学校教育に係る教育情報のデータベースの構築あるいは教員研修の体系的整備等を図り、情報化に対応する教員研修の中核施設としての機能の一層の充実を図ってまいることにしております。  生涯学習の拠点づくりにつきましては、生涯にわたっていつでも、どこでも学べる学習環境の整備を図っていくことが必要でございます。そのため、それぞれの文教施設の学習機会の拡充を図りますとともに、情報化時代に対応してコンピューター等を活用した情報の収集、提供の充実に努めたいと考えております。さらには、将来的にはさまざまな文教施設が有機的に機能するよう、ネットワーク化についても検討を進めてまいることにしております。  次に、公立高等学校の定員募集の基本的な考え方についてでございますが、平成三年度の公立高校募集定員につきましては、生徒及び父母の希望、社会的要請等を考慮し、公立・私立相携えて県民の期待にこたえるという従来からの基本的な考えのもとに、現在最終的な詰めの作業を行っておるところでございます。御指摘のとおり、公立高校進学希望者が昨年より一千一百人余りと大幅に減少しておりまして、定員に満たない学校もございますので、かなりの募集定員減はやむを得ないものと考えております。最終的には、各学区や地区の状況、学校の実態等を総合的に勘案しまして、全県的な観点に立って策定してまいることにしております。  養護学校の高等部の設置についてでございますが、十月十五日現在の進路希望調査によりますと、来年三月に中学校特殊学級と養護学校の中学部を卒業する者が三百四名おります。そのうち養護学校高等部への進学を希望する者は百二十八名で、進学希望率は四二・一%でございます。養護学校の高等部の整備につきましては、総合基本計画にも盛り込んだところでございまして、現在、進路希望状況調査や今後の各地区の生徒数の推移をもとに、将来の生徒数の動向等を勘案しながらその設置について検討しておるところでございます。  以上でございます。 19 ◯議長(五領和男君)時間もありませんので、答弁は簡潔にお願いします。 20 ◯県民福祉部長(瀬戸口 晋君)まず、最近の物価についてでございますけれども、全体としては安定的に推移をしているところでございますが、その中でガソリン、灯油などの石油製品や生鮮食料品、加工製品などの一部に価格の上昇が見られるところでございます。これらの上昇は、中東湾岸情勢の影響や夏場の気象条件などの影響を受けたものでございまして、特に便乗値上げなどの不自然な動きは今のところございません。また、需給状況につきましては、灯油などの品不足といったことは避けられる見込みでございますし、今のところ特に問題はないものと判断をいたしております。  年末年始の物価対策につきましては、生活関連物資の供給の確保と個格の安定につきまして、関係者に文書で協力要請を行いましたほか、去る十一月二十九日には事業者、消費者を交えた懇談会を開催をいたしまして、その中で情報交換や関係業界に対する協力要請を行ったところでございます。今後とも、価格動向の調査を実施いたしますとともに、県民の皆様に対しまして、県広報誌「物価かごしま」を通じまして、物価情報の積極的な提供に努めてまいります。  次に、省エネルギー対策についてでございますが、お話のありました国の対策を受けまして、県におきましてはその徹底を図るために、市町村に対し協力要請を行いますとともに、消費者団体、経済団体、行政機関などを網羅しております「鹿児島県資源とエネルギーを大切にする運動推進会議」をば、十一月十九日に臨時に開催をいたしまして、構成団体にそれぞれの立場から、県民の皆様にその実践を呼びかけるよう要請したところでございます。  さらに、県民に対する広報、啓発を強めますため、十二月下旬には、省資源・省エネルギーの意義、必要性などにつきまして、新聞、テレビ、ラジオなどの活用を集中的に図りましたほか、県庁初め主な出先機関に懸垂幕を掲示し、省資源・省エネルギーを呼びかけたところでございます。今後とも、県民に対する広報、啓発を引き続き進めますとともに、国の動向にも即応した対応を図り、省資源・省エネルギー実践の促進に努めてまいります。 21 ◯環境衛生部長(加藤恒生君)本県における水俣病認定等の状況でございますが、本年十一月三十日現在、認定申請件数は三千六百五十件、このうち認定件数は四百七十七件、棄却件数は二千八百二十三件、未処分件数が三百五十件となっておるところでございます。また、水俣病でないと判断された者のうち一定の要件を満たす者に対しましては、昭和六十一年七月から特別医療事業を実施いたしまして、医療費の自己負担分等を補助しているところでございます。  なお、本年三月からは、保険適用外のはり・きゅうも補助対象としたところでございまして、今後とも、本事業の適用推進に努めていきたいと考えておるところでございます。    [山本孝一君登壇] 22 ◯山本孝一君 消防防災対策や教育問題等について御答弁をいただきました。  消防団の活性化対策の中で述べられたように、国の活性化対策事業の受け入れや婦人消防等の活用もお考えいただき、積極的な対応を研究していただきたい。また、死者四十五人を出し、ホテル火災最大の惨事と言われました、十年前の栃木県川治プリンスホテルの業務上過失致死傷事件の最高裁判決で、責任者に対し初めての禁錮二年六ヵ月の実刑が先般確定したところであります。このようなときにこそ防火管理者の自覚を促し、マル適マークの交付率一〇〇%達成を目指して、防火管理体制の早急な整備をお願いしてやみません。  また、新教育委員長の抱負を聞かせていただきました。教育に対する期待の大きいとき、学校現場で不信を招く事件等が発生し、まことに遺憾なところであります。「李下の冠、瓜田の履」という言葉がありますが、少なくとも子供たちを教導する教師は、人に疑われるようなことがあってはならないのであります。また、生徒は先生の姿を映す鏡であるという心構えを持って、襟を正して教育正常化に向けて、新しい委員長を中心とした、信念に満ちた教育委員会の指導と適切な施策を強く求めてやみません。  また、中学の生徒指導については、非常に難しい面もあるようでありますが、学校現場と密接な連携のもとに、速やかな正常化を父兄と一体となって進められるよう特にお願い申し上げるとともに、情報化教育、養護学校高等部の設置などにつきましても積極的なお取り組みを要請しておきます。  以上、当面する県政の重要課題について質問を申し上げてまいりました。土屋県政も一年有半を経過、九〇年代における本県の進むべき方向と目標を示されました。願わくば総合基本計画の基本理念に即して、県内各地域で個性豊かで活力に満ちた地域づくりを進め、すべての県民が、県内のどの地域に住んでも充実した生活を送ることのできる、均衡のとれた魅力ある県土を築くために、実施計画策定の最後の詰めを急いでいただくとともに、総合基本計画とあわせて、早く、広く県民に周知徹底され、その理解と協力のもとに、県民と行政が一体になって、すこやかな郷土、ゆとりの文化圏域の実現に努められるようお願いをいたしておきます。  このようにいろいろありますが、「翔ぶが如く」の放映の中で見せつけられた薩摩の先人たちの厳しい生きざまを見習って、さらにさらに県勢の発展のため引き続いて精いっぱいの努力をいたしますことを、覚悟を新たにいたしまして、最後に、来年は静で平和なひつじの年にあやかって県民各位にとってよりよい年であることを念じつつ、自由民主党の代表質問を終わります。(拍手) 23 ◯議長(五領和男君)ここで、休憩いたします。  再開は、おおむね午後一時二十分からといたします。         午後零時 五分休憩       ─────────────         午後一時二十分開議 24 ◯議長(五領和男君)再開いたします。  増留貴朗君に発言を許可いたします。    [増留貴朗君登壇](拍手) 25 ◯増留貴朗君 平成二年第四回定例県議会に際し、自由民主党新生県議団を代表して質問をいたします。  まず最初に、先般の国勢調査、すなわち平成二年十月一日付でなされた国勢調査の速報値に関してであります。  これについては、午前中、知事の答弁もあったわけでありますが、改めて質問をさせていただきたいと思います。  今般、策定をされた鹿児島県総合基本計画には、第二章、第二節将来ビジョン、一、県民生活、現状課題と展望の中で人口指標について言及をしております。本県の総人口は、昭和四十七年には、約百七十万人まで減少したが、その後、本県経済の発展などによって昭和六十年には約百八十二万人まで回復しました。しかしながら、その後、出生率が減少するとともに、県外からの流入人口も減少し、総人口は減少の兆しを見せています。我が国の総人口は出生率の低下等によって増加率が鈍化するため、二十一世紀初頭には頭打ちになるものと見られていますが、高齢者の割合が高い本県では、全国よりも早く人口の自然増減がマイナスに転じることが懸念されています。  一方、高齢化及び長男、長女化の進行に伴う人口移動量そのものの減少によって、本県における人口の社会増減は均衡していくものと予想されます。しかしながら、大都市圏への諸機能の集中の状況によっては、今後も県外への人口流出が続くことも考えられます。この計画が円滑に推進されるとともに、国による地方振興施策の充実等が適切に行われることによって定住化が進み、本県の総人口は二〇〇一年に百八十五万人程度に達するものと見込まれます、としているのであります。  一方、前の計画、すなわち昭和六十年六月に策定された新総合計画では、第一編基本構想、第一章計画の背景の第二節県政の動向のうち人口と経済の動向に触れ、本県の人口は昭和四十七年の百七十万人を底に増勢に転じ、現在百八十万人に達している。本県人口の年齢構成を見ると、総人口に占める六十五歳以上の人口の割合は、昭和四十五年の一〇・一%、五十五年の一二・七%と上昇し、特に離島や半島地域等においては、その割合が二〇%を超える地域が十三町村に及ぶなど、高齢化は着実に進行しつつある。  地域別に見ると、県土面積の三・一%を占める鹿児島市に県人口の約三〇%が集中し、一方、川内市、鹿屋市、国分隼人地区等は人口定着力を強めつつあるもの、本県人口の県外流出を防ぐ歯どめ役を果たすには至っていない。また大都市圏への急激な人口流出は終息したものの、離島や半島内陸部の奥地等においては、人口流出、また高齢化の進行などの問題を抱えていると現状分析し、第四章昭和七十年の鹿児島の姿、第一節人口並びに経済フレームでは、人口について出生率の低迷による我が国人口増加率の低下が予測される中で、本県は就業機会の拡大等による人口の流入及び定住化が進み、昭和七十年の人口は、昭和五十五年に比べて十四万七千人増の百九十三万二千人程度になる見通しであるとしていたのであります。平成二年はこの前の計画のちょうど中間期、すなわち前期実施計画が終了した時点に当たるわけですが、単純に計算をするなら、昭和六十年時点の百八十二万人から、少なくとも百八十六方五千人程度には県人口がふえなければならなかったわけであります。しかし残念ながら、昭和六十年を境に本県人口は、流出減少へと向かい、今回の国調速報値百七十九万七千七百四十五人となっており、五年間で二万一千五百二十五人の減となったわけであります。前の計画の目標値との差はおおよそ六万七千人という大きな開きを見ますときに、いろいろと考えさせられる次第であります。  ところでお尋ねいたしますが、この数値は前任者に感想を聞くべきかもしれませんが、鎌田県政を継承された、現にその衝にある責任者として土屋知事はどのように受けとめておられますでしょうか。率直な御意見を伺わせていただきたいと思います。  今回の新たな総合基本計画では、既にこのことを予測し、昭和六十年からの人口減少の人口動態の結果に基づいて、計画終了時の二〇〇一年の本県総人口を百八十五万人と見込んでいるのでありますが、改めて今回の基本計画に盛られた数値の基本的な考え方を企画部長より伺いたいと思います。  あわせて、前の総合計画の推定人口との誤差をどのような要因によるものと分析されますか、お聞かせいただきたいと思います。  さらに、これを市町村別に見るとき、人口増加率の高いのは一位吉田町で一七・三%の増、以下国分市、吉松町、伊集院町、姶良町、隼人町、松元町、溝辺町、加治木町、鹿屋市の順であり、吉松町が刑務所移転という特殊な事情、鹿屋市が国立鹿屋体育大学と大隅半島の中核都市という事情を除けば、差は鹿児島市の周辺と国分隼人テクノポリス圏域に限定され、いわゆる新総合基本計画に言う鹿児島都市圏ということになるわけであります。  反面、減少率の高い市町村は、上甑村の一二・七%を筆頭に内之浦町、笠沙町、里村、上屋久町、坊津町、笠利町、佐多町、伊仙町、下甑村であり、いずれも九%以上の大幅な人口減であります。  さらに、減少実数では名瀬市が約三千四百人と最も多く、同じ離島の西之表市も二千人近く減って、離島や半島地域の過疎化が超スピードで進んでいることを如実に物語っています。これから人口の県外流出はもちろん問題でありますが、県内においても鹿児島市とその周辺に県人口のほぼ四割近くが居住しているのであり、これは県内他市町村の犠牲の上に立った数値と言わざるを得ません。県民の都市志向は強まる一方であります。これから推測できるように、大隅の中核都市としての鹿屋市、北薩の中核としての川内市、さらに南薩に一ヵ所、地域発展の拠点としての都市機能の集積を早急に図る必要もあると思うのでありますが、これについて総合基本計画第一期実施計画案との関連を踏まえて知事並びに企画部長の見解をお伺いいたします。  さらに、県人口減少の中で、世帯数は六十年国調に比ベ、三%近くふえているのであります。総人口は減っているわけですから、世帯の規模はそれだけ小さくなったわけで、一世帯当たりの家族数は前回より〇・二人縮小し、平均二・七三人となっております。それらは夫婦世帯やひとり暮らしがふえ、その大半は高齢者であろうかと思います。  子供の数が減り若者が出て行けば、年寄りだけが残るわけであります。細かな年代分析は確定値を見なければわかりませんが、本県が全国有数の高齢県として地域の主役が老人であるという時代が現実に厳しく到来してきたことを数字も物語っているわけであります。  さらに、県全体の人口動態を昭和六十年十月から平成二年九月の五年間について推計人口統計から試算してみますと、社会減四万五千一人であるのに対し、自然増二万六千八百二十三人となっており、世帯数がふえたことから考えると、流出抑制はもちろんのことでありますが、未来へ向けて自然増を図る必要を感ずるのであります。  かつて、金丸知事の時代に第三子運動が提唱され、展開されました。そして今でも末吉町において第三子の出生に祝い金が贈呈されているようでありますが、これなどを考えあわせるとき、県としても新たな第三子運動の展開を図る必要があるのではないかと思うものであります。これについて、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、新幹線問題についてお尋ねいたします。  九月議会以降九州新幹線本格着工に向げ、並行在来線の取り扱いをどのようにするかについて、知事は精力的に会談、協議を重ね、過ぐる十二月一日、熊本県並びにJR九州との三者協議により、鹿児島本線のうち、川内―八代間について経営分離を受け入れ、その場合、第三セクターにより路線を維持することに三者の合意を得られたところであります。これで来年度政府予算編成時における本格着工認可のためのすべての手順を整えたことになります。  しかしながら、県民、沿線住民にとっては、九月末よりわずか一ヵ月余りの間に、なぜ川内―八代間の経営分離、三セク移行の結論を急いだのかをいぶかる向きもあります。その理由、背景について、まず知事より明かにしていただきたいと思います。  特に、経営分離区間となった阿久根市民にとっては、新幹線は通過地点であって、建設開業後も何らの利益も受けず、単に在来線がJR九州より経営分離されることになり、その上三セクへ移行する地元負担金のみが課せられるという不満、またその後の路線維持、利便性、長期的存続への経営に対する不安などから、地域の過疎化に一層の拍車がかかり、このままでは取り残されてしまうのではないかということなどから、経営分離絶対反対、絶対阻止の声が上がっているようであります。  そこで経営分離後の路線維持に関連して、できるだけ午前中の質問を避けながら、お尋ねをいたします。  まず第一は、阿久根市議会の意見書など阿久根市の反対の意向について、どう受けとめておられるのか、またどう対応するおつもりか、まずお伺いいたします。  第二点は、沿線では、経営分離するにしてもJR九州の言う極端に採算性の悪い川内―八代間だけを対象とするのではなく、西鹿児島―熊本間の経営分離の方が長期的に見た場合、経営が安定し、第三セクターにしても都合がいいのではないか、また鹿児島市と熊本市という大きな需要を見込まれる両市間の方が、三セクの長期的担保になるという意見がありますが、なぜ川内―八代に分けなければならないのか、お聞かせいただきたいと思います。  第三点、三セクの場合の利便性の確保、長期的、安定的運営の見通し、貨物輸送の問題、運賃に関すること、設立にかかわる地元負担金、赤字補てんの問題、災害発生時の対応については午前中にも議論がなされたものもありますが、三者会談による合意として、JR九州は、関係機関とも相談をしながら、第三セクターの長期的、安定的な運営が可能となるようできる限りの努力をしてまいりたいと発言しているのであります。三セクの場合、JR九州は川内―八代間の資産を無償譲渡、もしくは無償貸与するということなのか、明らかにしていただきたいと思います。  第四点、三セクにかかわる県の負担額でありますが、新幹線建設費の負担額とあわせて、多額の財源の確保が必要となります。  そこでお尋ねしますが、本県財政は、このほかに総合基本計画の計画実施のための財源等多くの需要が見込まれています。これについての対応をどうなさるのか計画をお示し願います。  第五点、最終的には、経営分離については、十年後の結果を見て判断するということになりますが、現在の在来線の今後の需要はどのように見込んでいるのか、さらに需要喚起のため今後も努力を継続すべきでありますが、どのような方策を考えているのか明らかにしていただきたいと思います。  第六点、沿線の地域振興についてでありますが、これについてはどのようにお考えであるのか、お聞かせください。  第七点、並行在来線の取り扱いについての結果を、知事は国に対してどういう内容でいつごろ回答されるおつもりか明確にしていただきたいと思います。午前中の御答弁でも聞きましたが、もう一回文書、あるいは、さらにどういった内容になっているかを明確にしていただきたいと思います。  最後に、今回在来線の取り扱い問題に決着をしたという評価によって、優先順位四位の鹿児島ルートに対して、来年度着工で運輸省と大蔵省が基本的に合意したというニュースが昨日流れました。これは長年九州の一体化、なかんずく鹿児島県の浮揚に欠かせない、県民の悲願であった問題として、まことに明るいニュースで喜ばしい限りであります。でありますが、運輸省の当初の計画段階の生活関連枠での予算確保は、大蔵省はゼロ査定の方針を変えていず、運輸省は、港湾空港等の公共事業費全体で調整することで歩み寄ったとされておるようであります。  在来線問題の評価で着工することにはなっても、軽井沢―長野間のフル規格格上げ、そういった等の問題で九州ルートヘの予算配分は圧縮され、当初十年間の完成を見込んでいたものが、二、三年あるいはそれ以上の工期が延長されることになるかもしれないという見通しのようであります。  また、今後毎年の一般財源の保障もなく、工期はその予算の毎年度の確保額によって決まり、したがって、完成時期はそれによって決まるであろうとしているのであります。  そこでお尋ねしますが、現在の中央での最新の動きを改めてわかりやすく御説明いただきたいと思います。  さらに、着工した後の問題でありますが、九州新幹線鹿児島ルート建設促進運動の終着駅はあくまでもフル規格の整備新幹線であります。着工後の毎年の予算確保の運動を初め、最後まで建設促進運動を息長く継続して続けなければならないと考えるのでありますが、地元鹿児島県の建設促進運動のための組織、また九州の一体化となった組織などは温存して、さらなる促進運動を展開していかなければならないと思います。これについて知事のお考えと決意を明らかにしていただきたいと思います。    [知事土屋佳照君登壇] 26 ◯知事(土屋佳照君)最初に、国勢調査に関してのお尋ねでございますが、まず新総合計画における人口の推計は、昭和五十年、五十五年の国調人口をベースに、その趨勢から将来人口を推計をされて、それに国の三全総に基づく人口の定住化や産業の地方分散化などの推進策等を踏まえて、新大隅開発計画等による増分も組み入れて、目標年次の人口を見込んだものであるというふうに承知をいたしております。  しかしながら、その後、急激に東京一極集中が強まる中で、若年層を中心とする人口の流出やUターン人口の減少が起こりました。また出生率の低下など大きな情勢の変化があったために、当初見込んだ人口に至らなかったものだと考えております。私としては、なお出生率の低下傾向もございまして、安易に考えるわけにはいかない状況にあるとは思っておりますが、国による地方振興施策の充実はもとより、総合基本計画にお示ししたような各分野に当たる施策を着実に推進をして計画の目標としている人口を達成したいものと念願をしておりまして、最大限の努力を傾けてまいりたいと思っております。  また、県土の均衡ある発展を図るためには地域の中核となる都市や、広域的な生活圏の中心となる都市の整備や鹿児島広域都市圏の整備とともに極めて重要な課題であると思っております。これらの方向につきましては、総合基本計画に総体的な方向づけを示しておるわけでございますけれども、それぞれの地域の特性を生かしながら、鹿屋市、川内市につきましては、鹿児島広域都市圏に準ずる大隅地域、北薩地域の中核的な都市として、各種都市機能の集積を図りますとともに、指宿市、枕崎市、加世田市等につきましては、南薩地域における広域的な生活圏を中心として、生活関連機能の充実を促進してまいりたいと考えております。  御承知のように、それぞれの地域ごとにいろいろな特性を備えておりますので、何とか私としては、この中心部だけの集積ということじゃなくて、その中心地域の集積というものが、全県下に広がっていってこそ全体が浮揚していくという考えのもとに、今おっしゃいました中核都市や、またそれにつながる中心都市、そういうものの整備を推進をしていきたいというふうに考えておるところでございます。  次に、本県におきまして、昭和四十五年度に太陽の子運動の一環として、第三子まで産み健やかに育てる、いわゆる第三子運動が提唱されたことは私も聞いております。ただ子供を何人産むかということは、基本的にはそれぞれの個人の考え方で決められることではございますが、出生率の問題は本県にとりましても、活力ある地域社会をつくっていく上で大変重要なことであると認識をいたしております。このため、今回新しく策定いたしました、総合基本計画において、若者が県内に定着できる条件整備や、安心して子供を産み育てる環境づくりなどの施策を積極的に展開することといたしておりますが、長期的にまた幅広く考えて見れば、このようなことも出生率の向上につながっていくのではないかと期待をいたしておるところでございます。  もとより、このような出生率の低下傾向は、全国的にも大きな課題となっておりまして、現在、国において児童手当制度の見直しなど、実効ある対策について検討がされているところでございまして、こういった国の動向なども踏まえながら、効果的な取り組みについても研究をしてまいりたいと考えております。  次に、新幹線の問題でございますが、昨年一月十七日の整備新幹線に関する政府与党申し合わせで、新たな区間等に引き続き着工する場合は、当該区間の並行在来線の取り扱い、建設費、収支採算性等に関し具体的な結論を得た後これを行うものとするということが明らかにされておったわけでございますが、平成三年度の概算要求において、運輸省が本格着工につながる予算要求をいたしましたことから、残された問題として並行在来線問題の整理を早急に行うよう九月中旬に運輸省から要求があったわけでございます。私どもとしては、来年度の予算編成時が、まさに本格着工へ向けての正念場であると考えておりまして、それまでに並行在来線問題に結論を出さなければ本格着工が困難になるという認識のもとに、予算編成時をめどに結論を得られるように、九月以降これまでに沿線市町長との二回の協議とか、JR、熊本県との三回の協議等を経まして、十二月一日のJR九州社長、熊本県知事との三者会談を行い、条件整備を進めてきた次第でございます。チャンスを失せず本格着工をかち取りますためには、早いタイミングで結論を出さなざるを得なかったということにつきましては、御理解を賜りたいと思うのでございます。  また、阿久根市におきましては、阿久根市議会の意見書にも見られますように、引き続きJRによる並行在来線の運営を要望する意見があることは承知をいたしております。ただ、県全体の浮揚のための新幹線の整備の必要については、御理解をいただいておるのでございますが、JRからの経営分離への不安や将来においてレールがなくなるのではないかといったような懸念等から、このような御意見が出ているものと受けとめております。県としては、引き続きJRによる運営が行えるのであればそれにこしたことはないのでありますが、JR九州との折衝の中で、JRとしては大幅な赤字には到底対応できないというような考えでございましたし、諸般の事情等から両立させることはとても困難であるということで経営分離を受け入れざるを得ないと判断をした次第でございます。  ただ、住民の生活の足を守る立場から、レールを残して、県が責任を持って第三セクターを設立し、JRの協力を得て利便性の確保とか、長期的な安定的な運営が図られるよう最大限の努力を行うこととしているところでありますので、今後とも御理解と御協力をいただくように努めてまいりたいと考えております。  また、第三セクターの収支の想定に当たりましては、第三セクターに負担のかからない形で現状資産を使用できることを前提として検討をいたしておるところでございます。したがって、譲渡とか貸与とかの形式まで詰めたわけではございませんが、負担がかからない形で第三セクターが使用できることとなるようJR九州社長に私から特に強く要望をしたところでございます。JR九州としては、私の要請については、大変理解を示されたのでございますが、関係機関とも相談しながら、第三セクターの長期的、安定的な運営が可能となるようできる限りの努力をしてまいりたいという答えをいただいた次第でございます。  次に、九州新幹線鹿児島ルートに係る地域の負担は、現段階では明確にはお示しできないわけでございますが、建設費の一五%程度が負担額となるものとして、単純に計算をいたしますと、鹿児島地域全体で約三百九十億円程度となるものと見込まれております。この地方負担につきましては、平成元年の一月十七日の政府与党の申し合わせによりまして、この負担の九〇%について地方債を充てることが認められておりまして、事業実施年度を超えてかなり長期にわたって負担を平準化していくことができますので、こうした措置を活用してまいりたいと思っております。  ただ、このほかにも御指摘のように第三セクターに係る負担も生ずるわけでありますし、また総合基本計画戦略プロジェクトなど、県勢発展と県民福祉の向上のための各種の事業施策を円滑に推進していく必要がありまして、今後財政需要は増大することが予想されるのでございます。このために、私どもとしては、事務事業の徹底した見直しなど、常に効率的な財政運営に心がけますとともに、地方交付税、国庫支出金等財源の確保を図ることが重要であり、そのための努力をしなければならないと思っております。そして、さらに今後とも一層の税源涵養の努力によって自主財源の強化を図ることが極めて重要であると考えておるところでございます。  次に、鹿児島本線の川内―八代間における新幹線が完成をすれば、八代間におきます人々で、この新幹線が完成すれば、新幹線に移ると思われる特急等の利用者を除きましたいわゆるローカル部門の利用者の平成元年度輸送密度は約千二百人となっております。JR九州の試算では、川内―八代間につきましては、今後ともほぼ横ばいと想定されており、県としても収支見込みにおいては輸送需要を横ばいとして一応試算をいたしております。ただ、第三セクター化によりまして、増便などサービスレベルの向上等の措置がとられるということが、また、新幹線の開通によって鉄道輸送が増加すると予想をされること。  さらに、現在、阿久根から特急等を利用している人、これは試算から除かれておるわけでございますが、こういう方が第三セクターを利用して出水とか、川内で乗りかえるということになりますと、そういうものは出てくるんじゃないかと思いますので、県としてはある程度の需要増加は見込めるものと期待をいたしておるところでございます。
     いずれにいたしましても、第三セクターの運営安定のため関係市町とも連携をとりながら、沿線地域の振興開発や観光客誘致など地域振興を図って需要増の努力は重ねていかなければならないと思っております。  なお、私は残した第三セクターの運営の方法もですね、いろんな知恵を出して見たらいいと思っておりまして、時間があることではありますけれども、いろんな工夫をして客をふやす努力をしなければならないと覚悟をいたしておるところでございます。  今回、第三セクター化される地域につきましては、例えば阿久根・東郷線といったような地域の幹線道路の整備とか、さらには南九州西回り自動車道の整備促進等によりまして、地域の活性化を図っていく必要があると思っております。また地域の特色を生かした漁港整備とか、活魚流通センター、お魚センターといったことなどは新しい施策として今打ち出しておるところでございますが、そういうものなどを進め、さらに観光や地場産業の振興等について、関係市町とも連携をとりながら、それぞれの市町の活性化対策等に積極的に協力をしてまいりたいと思っておるところでございます。  次に、今回の並行在来線についての合意の内容につきましては、即日事務的に運輸省へ連絡をいたしたのでございますが、運輸省においては、在来線問題という最大の懸案の処理状況につきまして、経営分離区間やその後の住民の足の確保に関する県の考え方などにつきまして状況説明を求めてきておりまして、県といたしましては、本日までの状況をとりまとめて報告をすることといたしております。今後さらに何らかの形での回答が必要であるかどうかについては、今後運輸省とも協議をしてまいりたいと思っておるところでございます。  さらに、お尋ねの予算の決定がどのような形で収束するかといったこととか、着工順位や、工事期間等に関します情報につきましては、いろいろと報道もされておるようでございますけれども、関係方面から何も公式には聞いておりません。  ただ、私としては、三線の陳情の際にも関係者を、例えば運輸省においてはぜひともこれは三線同時着工したいという強いお気持ちを伺っておりますし、いろいろな関係の党の責任者などからもかなり前向きな発言も伺っておりますので、そういういろいろなことを勘案いたしますれば、並行在来線の取り扱い等の問題の整理のついた区間につきましては、明年度から着工できるものと期待をいたしておるところでございます。運輸省においては、御承知のように三線を十年間で完成するという予算を要求しておりますので、県としても早期完成に向けてさらにでき得る限りの努力を続けてまいりたいと思っております。  なお、九州新幹線鹿児島ルートにつきましても、フル規格の新幹線による全線整備というものが最終的な目標でございますので、今後の取り組みにつきましては、関係各県とも相談しながら、検討していくこととしたいと思っております。 27 ◯企画部長(中村利雄君)まず、総合基本計画の総人口の見込みでございますけれども、これは昭和五十五年の国勢調査それから昭和六十年の国勢調査の人口及び最近の人口動態の実績によりまして、まず平成二年十月の本県総人口を予測しまして、これを基準に国による地方振興施策の充実やこの計画の円滑な推進などによる県外からの就業者の増加、その随伴家族の増加及び労働力率の向上によります県内就業者の増加を推計しまして、総人口及び年齢構造などを算出したものでございます。  新総合計画の推定人口との差につきましては、新総合計画が策定されました昭和六十年以降東京一極集中がさらに進みまして、若年層を中心とする人口の流出やUターン人口の減少が続き、また出生率の低下等もございまして、これらが人口構造、就業構造などに影響を及ぼし、人口予測に差が生じたものと考えております。  次に、川内―八代を経営分離する理由でございますけれども、今回第三セクター化の方向で検討しておりますのは、JRによる運営に比べて大幅な経費の削減が可能になるからでございます。西鹿児島までの第三セクター化を考えた場合、その経費削減が難しくなり、第三セクターでの安定的な運営が困難と考えられるわけでございます。その経費削減の要素としましては、第一に人員の削減が上げられるわけでございます。八代―川内間の場合は、レールバスを導入しましてワンマン化を実現し、現在百五十人の人員を約七十人に圧縮できるわけでございますけれども、川内―西鹿児島間におきましては需要も多くレールバスでは対応できないため、ワンマン化できない、そういうことで人員の削減が期待できないわけでございます。  また、川内―西鹿児島間は輸送需要が大きく、日豊本線との一体化による運行を行うことが効率的でございまして、レールバスでの対応は適当でないと考えているわけでございます。  次が、人件費の圧縮でございますけれども、第三セクターにする場合は、JRよりOBなどの派遣を仰ぐことなどによりまして、現在の人件費、年約五百万円から年三百二十万円に押し下げることとしているわけでございますが、川内―西鹿児島間が第三セクター化した場合には、総従業員が三百人にも及ぶというふうに考えられますので、これだけの人員をJRよりのOBなどの派遣で賄って組織の平均賃金を三百二十万円程度まで押し下げることに困難があるということでございます。  第三には、JR九州の試算によりますと、直営電化で経営合理化したとしましても、約四・五億円の赤字が想定されているところでございまして、県としては、八代―川内間を第三セクターで運営するのが適当ではないかと考えた次第でございます。    [増留貴朗君登壇] 28 ◯増留貴朗君 まず、国勢調査速報値についての御答弁ですけれども、やはり一番は、この数値から日本全体が東京一極集中でありますように、九州は福岡一極集中、鹿児島は鹿児島一極集中、したがって、今回の基本計画で、その福岡に対してのいわゆるアンチという意味でも鹿児島都市圏というものが出てきたと思うんですが、やはり鹿児島県内では、鹿児島市にやはり中心に大きな人口が集中をする。その結果、地域が過疎になるということについては、それぞれの部分部分では、各論ではちょっと困った問題だという意見があると思うんです。したがいまして、知事の御答弁にありましたように、そういった万遍なくという、全県にいわゆる広がってこそという言葉をどうかひとつこれからの施策で生かしていただきたいと思います。  新幹線の問題ですが、よくわかりました。ただ国の方への報告ですけれども、午前中は即運輸省へ連絡をしましたということでございましたけれども、また改めて具体的な御報告をなさるように今伺いましたが、いずれにしても、並行在来線の川内―八代間についてJR九州からの経営分離を受け入れ、第三セクターへ移行していかなければならないという意味での結論と、その時間のかけ方については了解をいたしたいと思います。私ども自由民主党新生県議団としても、これを了として年末の政府予算編成に向けて、これまで長い運動を展開してきた九州新幹線鹿児島ルートの本格着工を実現するため最大限の協力と努力をいたします。  ではありますが、整備新幹線建設については均衡ある国土の発展、東京一極集中を初めとする、大都市偏重の中央のやり方を改め、あくまでも国の公共事業方式としてすべてが進められるべきであるとの主張は続けたいと思います。今回万やむを得ず川内―八代間の経営分離を受け入れるわけですが、将来の第三セクター設立に要する財源を初めとする問題につきましては、沿線市町村に過重な負担のかかることのないよう県の責任において十分な配慮がとられるようお願いを申し上げておきます。  特に、阿久根市への配慮についてでありますが、同市は、今回の国調における人口減が約四・五%で、このことを一つを取って見ても同市の地域振興の大きな柱であった鹿児島本線の複線化による浮揚策がなくなるという点で大きな問題であろうと思います。その反対理由が理解できるのであります。  そこで知事にお願いしたいのは、やはり知事がみずから、しかるべき時期にしかるべき方法で経営分離反対絶対阻止を主張される阿久根市民に十分な理解が得られるような手だてをとられますようお願いをいたしておきたいと思います。  もとより、今回の経営分離は、在来線の不採算性に起因するものであり、それは県の地域振興策の結果でもあります。その意味で何らかの策を改めて講じなければならないわけですが、午前中にもありましたが、阿久根市だけでなく、沿線市町村に対しても十分な地域振興策がとられるよう重ねて要望し、新幹線建設に関する在来線の経営分離を受け入れる私ども自由民主党新生県議団の見解といたします。  次に、石川島播磨重工業の進出問題についてであります。  期待を大きく持つと失望感は増幅する。率直に言ってこういう感慨を抱かざるを得ない、と地元紙の書き出しがありましたが、まさに同感であります。恐らく県民の大方もそのように感じておられるかと思います。午前中の知事答弁がありましたが、石川島播磨重工業、陸機部門第二次鹿児島工場建設計画については、用地の七〇%の残地、未利用地が残ることについては、まことに遺憾であり、その有効な利用が一刻も早くなされるよう強く要請をするものであります。公有水面を埋め立て、本県の地域浮揚を念願として造成された広大な土地を、代金を支払って入手したとはいえ、それに伴う公的責任は土地を購入した企業に依然としてあるのは言うまでもありません。購入後からの買い戻し特約の期限が消減したとしても、全面積の三分の二余りが未利用であることについては県民は決して了承するものではありません。これまでの日本経済の低成長期においては買い戻し特約がついていることもあって比較的県民感情は寛容であったかと言えるのであります。しかしながら、景気が回復し、経済環境が好転してきた現在、これまでに出されたIHIの計画を信じて期待していたのでありますから、たとえ第二次工場建設計画が示されたとしても、素直に受け入れがたいところがあるのも当然のことと思うのであります。  でありますが、改めて企業誘致という立場から今回のIHIの第二次工場建設計画を評価して見たいと思います。  私どもは、県勢浮揚の重要な施策として企業誘致を掲げ、今日もさらに努力し、関係職員は県内外で昼夜を問わず奮闘をしているのであります。そこでこれまでの企業誘致実績を見ると、平成二年四月一日現在、立地企業のうち操業中の工場数は四百十三企業、常用、臨時、パート合わせて三万七千七百十二人が従業員として雇用されているということになっております。国調に合わせて昭和六十年から、平成二年十月一日現在で最近の企業進出状況を見ますと、立地を決定した企業数は百六十七社、うち操業を開始しているもの百二十四社、雇用従業員数は平成二年四月一日現在で三千八百三十人となっております。もちろんこれには、産業構造上の波及効果がありますから、これだけの数が企業誘致によって創出された雇用の場、すなわち働くことになった人数の全部であると一概には言えないでありましょうが、昭和六十年国調から今回の国調、すなわち平成二年十月一日までに減少した人口二万一千五百二十五人の数値と比べるとき、五年間の企業誘致の雇用数三千八百三十はいかに企業誘致だけで人口の減少あるいは人口の県外流出に立ち向かうことが大変なことかということであります。  しかしながら、今後も企業誘致はその努力をいかに長期的に長く継続して展開するかということであって、その必要があると改めて認識をしたいと思います。  その意味で、今回のIHIの進出計画を投資額百億円、計画雇用人員百名、協力工員四十名という規模の企業立地の進出と受けとめるならば、通常誘致企業進出の契約締結時に知事室で知事と企業代表がにこやかに握手して、契約調印の模様を報道機関に公表するほどの画期的優秀な企業の進出に値すると思うのであります。  でありますが、やはりこれまでの経緯を踏まえますとき、改めてIHIに対し、これまでの約束はどうした、契約のすべてを履行するのはいつになるのかと詰問をしなければならないことがまことに残念でなりません。会社側は新工場は同種のものとしては、西日本における最大規模ということであり、また将来同社の拠点工場になると考えると説明しているようであります。IHIはバイオ部門を断念し、本来の企業戦略に従って同社の展開を図るとしているのでありますが、IHIの企業展開の意図を同社の将来のあり方を想定し、その方向性を明確にした七十ビジョンから改めて伺って見たいと思います。  それによりますと、現在総売り上げの七五%は造船、プラント、金属加工機械といった分野で、航空宇宙や新素材などのハイテク分野や、積極拡大しようとしているコンピューターソフトやビル・メンテナンス、不動産、教育、レジャー等のソフトサービス分野は残りの二五%にすぎず、平成七年には、この比率を逆にして、売り上げも二倍の一兆四千億円に伸ばそうという計画のようであります。  この企業戦略の問題は、ハイテクへの傾斜で増大する資金量にどう対応するか。ハイテク化に向けて人をどう育て、活性化するかなど問題は山積しており、ハイテクで武装した現代の巨艦石播丸の浮沈をかけた戦いは、今、正念場を迎えていると伝えております。  資金面においては、同社は後ろ向き資金需要で圧縮に努めてきた借入金がふえ、これ以上の借り入れはふやせない状況から、高金利時代の資本市場からの資金調達も容易ではなく、一方、ハイテク傾斜で前向きな資金需要は極めて旺盛で、研究開発投資は三百億円台で、設備投資も百五十億円台を維持し、その資金需要をどうするか、その保有する株と地価の高騰で急膨張した含み資産の運用がこれからのかぎを握るとの経済情報であります。株価は御案内の市況であります。  こう述べてくると、それでは、鹿児島の遊休地は将来どうなるかと気になるわけですが、ここに六十二年八月の日経新聞の発行した「ウォーターフロント開発、都市再生に挑む推進プロジェクト」という内容の一部を紹介したいと思います。  それには、第二東京都長期計画があり、そのうちに昭和六十一年から平成七年までの臨海部の開発整備、内港地区の再開発、晴海、豊洲埠頭地区の再開発計画を示しております。この晴海、豊洲埠頭地区には、石川島播磨重工業の第一工場があります。また、同地区には、東京電力、東京ガスも土地を所有し、それをみずからが主体となって住宅、商業の機能を備えたまちづくりを計画中であるとしているのであります。  ですが「ウォーターフロントの時代」という伊藤滋氏の本によりますと、東京都江東区の南半分の新木場地帯を含めて、月島、豊洲という埋立地、そこに石川島播磨を中心とする豊洲の工場市街地があるが、この市街地の真ん中を新木場から有楽町を経由し、池袋に達する有楽町線が通ったため、この地域は大きく変わる可能性を持つに至ったとし、この豊洲市街地の大部分は大企業によって大きく土地が所有されている。  ここ十三号地に東京都はビジネス街をつくろうとしているが、それよりも先に民間企業が有楽町線沿いのここに民間的な感覚で民間の人たちのためのオフィスビルやレクリエーション施設を早くつくってしまう可能性もある。もし豊洲市街地がこのようにIHIの土地を中心に再開発され、大規模な工場用地を展開させたら、新たなオフィス街、商店街、住宅街が軒を並べて姿をあらわしてこようと紹介しているのであります。  このような一連の情報から、このことが首都圏大改造、東京湾ウォーターフロント開発の中で現実化しているとすれば、IHIは豊洲の工場をどのように扱おうとしているのでありましょうか。  このことから、私は一つの仮定を描くのであります。それは、豊洲の工場敷地を都市再開発用地として売却して将来の資金需要に充てる。あるいはみずから市街地再開発をする。その結果、スクラップした豊洲の工場機能を鹿児島の余裕ある工場用地へ移しかえる計画を練っているのではないかということであります。  そこでお尋ねいたしますが、今回の第二次鹿児島工場建設後の遊休地の利用について、IHIと県との間で同社の二十一世紀への経営戦略に基づいて突っ込んだ話はなかったのかということです。第三者機関による利用方法の検討を取りやめてバイオ産業への進出を見送ったというからには、本来のIHIの持つ七十年ビジョンに従って何らかの計画があるはずであると思うのでありますが、IHIトップと県トップとの間でどのような遊休地の利用計画についてやりとりがあったのか明らかにしていただきたいのであります。知事にお答えいただきたいと思います。  次に、農業問題についてであります。  農水省は、このほど日本の農林業の現状を調べた農林業版国勢調査「一九九〇年農林業センサス」を発表しました。  それによりますと、日本の農家は、この五年間で九・三%減少し、それにつれ農家人口も減少、農業労働力年齢層が上がり、高齢化が一段と進み、担い手の五人に一人は六十五歳以上となった。農家の階層化が進み、大規模農家は借り入れ耕地面積を三〇%ふやすなど耕地の集積化が急テンポで進みつつあると。小規模農家が農作業の外部依存度を強めて弱体化する一方で、大規模農家は大型農業用機械を導入して効率化を高めている。この五年間で日本の農家の二極分化がますます進んでいる。このことは、農産物の自由化が進み、内外価格差の縮小が急務となっている折から、経営効率の高い大規模農家への耕地集積は望ましい動きであると新聞は報じております。  そこで、今回のセンサスによる本県農業の実態でありますが、全国の動向と比較してどのような実態にあるのか、まず農政部長にお伺いいたします。  さて、平成二年二月一日現在の農林業センサスによる鹿児島県の結果概要についでであります。  まず、農家数の推移についてでありますが、前回に比べ一三・九%の減少で、前回の減少率八・五%を上回り、その数十二万九千四百十五戸で、本県総世帯数に対する割合は、二三・四%から一九・六%と減少しております。本県全体の世帯数が約一万八千五百戸ふえているのに対し、農家数は約二万一千戸減少しているのであります。そのうちの全体の六〇%が兼業農家で、中でも第二種兼業農家が約半分近くを占めております。第一種兼業農家は約二五%、第二種兼業農家は約一七%と、引き続き高率で減少をしております。  これを地域別に見ると、最も大幅に減少しているのは、川辺地区の約二七%であります。続いて鹿児島地区約一九%、指宿地区一八%の減少が大きく、一方、曽於、肝属、熊毛、大島の各地区の減少は小さいのであります。  市町村別に見ると、鹿島村の減少が大きく、桜島町、阿久根市、加世田市、坊津町、指宿市がそれに続いております。  そこで、農政部長にお尋ねしますが、農家戸数の減少の度合い、さらに地域別の実態から見て、本県農業の推移をどのように分析しておられますか。  特に南薩半島地域が大幅に減少しているのでありますが、その理由について明らかにしていただきたいと思います。  指宿地域については、かんがい事業の成果、あるいはフラワーセンターの成果をどのように考えたらいいのでありましょうか。その理由をお示し願います。  次に、経営耕地規模別の農家数について見ると、二・五ヘクタール未満で減少、二・五ヘクタール以上層で増加と、対象的な動きを見せており、特に三へクタール以上層で約二三%と、大幅に増加しております。この点についても農政部長の御意見をお聞かせください。  次は、農家人口についてでありますが、四十一万一千三百四十五人から約一八%、おおよそ八万五千人減少をしております。したがって、農家人口の総人口に占める割合、すなわち農家人口率は約二七%から二三%へ落ち込み、一戸当たりの世帯人員も三・三人から三・二人に減少しております。  さらに、農業就業人口は約一二%、二万五千人減少して十八万七千人余りとなっております。この男女構成比は、男四三%、女四七%であり、前回より女の割合が低下しております。  これをさらに年齢別に見ると、その減少率は、十六歳から十九歳層で二九%、二十歳から二十九歳層で約四二%、四十歳から四十九歳層で約四〇%と、減少が著しいのであります。  反面、六十から六十四歳層で約六%、六十五歳以上層が約七%増加しております。構成比から六十歳以上層が全体の約五四%を占め、前回より九・四ポイントも上回っており、著しく高齢化が進んでいることを示しております。その中で興味深いのは、五十五年当時の二十歳から二十九歳層、すなわち平成二年時の三十歳から三十九歳層が一千七百十五人ふえていることです。  農政部長、農家人口についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。  その他、経営に関する指標がありますが、鹿児島県の農業は、その実態からしてどのように把握すればいいのか、総括していただきたいと思います。  企画部長、難しいことかもしれませんが、県の総合基本計画では、本県の産業構造上からの農家について、あるいは農業人口についてどのようなフレームが設定されていたか、私は実は存じておりません。本県産業という全体的な観点から、ぜひ御教示をいただきたいと思います。  次は、林業についてであります。  総合基本計画第一期実施計画案によりますと、戦略プロジェクト環境デザインのうち、鹿児島グリーンプラン21の策定、また県民の森等の整備に緑化の推進についての計画、ふるさとの森づくり、森林と触れ合い林道整備、生活環境保全林整備、多目的保安林整備等林業振興の施策がありますが、戦略プロジェクト「食の創造拠点かごしま」の部には、ねらいとして、「これまでの農林水産業の生産基盤や技術の集積等を生かして」云々と書いてあるにもかかわらず、林業を通じての食の創造プロジェクトには顔を出しておりません。農林水産業の農林の林は全くの文字だけでございます。林業にも特用林産物等の山の幸があると思っておりますが、なぜ抜けたのか、企画部長にお尋ねをいたします。  また、本県特用林産物等の振興についてどのような施策を講じておられるのか、今後の計画等も含めて担当部の林務水産部長にお尋ねをいたします。    [知事土屋佳照君登壇] 29 ◯知事(土屋佳照君)石播問題につきましては、私も就任以来重大な関心を持っておりますので、稲葉社長に直接お会いする機会を持ちまして、土地利用についての考え方を伺ったところでございます。  その際、石播としては、鹿児島工場用地は将来にわたって同社の生産拠点として本来事業を展開する重要な土地として位置づけており、その考え方で今回の第二次鹿児島工場建設計画を作成したということでございました。  私としては、今回の工場建設計画が実行されても、依然として広大な土地が残されるので、石播として重要な拠点となる土地として位置づけておられるのであれば、一日も早い全面的な利用をしていただくよう率直な要請を申し上げたところでございます。これに対しては、現時点では、残地の具体的な利用計画は持っていないが、今後さらに検討を続けるということにしたいと。当面第二次鹿児島工場の建設に全力を注ぎたいということでございました。  県としては、石播に責任を持って本県の発展に寄与するような具体的な計画を一日も早くつくってもらい、全面的な土地利用が図られるよう重ねて強く要請をしてまいる考えでございます。 30 ◯農政部長(山中 正君)今回の農林業センサスの結果によりますと、農家、農業就業人口等は、全国本県ともに減少をいたしておりますが、本県の農家戸数、農業就業人口等の減少率は、全国の減少率に比べまして大きくなっております。  なお、本県の農家戸数二万八百十戸の減少について見てみますと、兼業農家が一万九千四百九戸、中でも第二種兼業農家が一万二千二百七十七戸の減となっておるところでございまして、この結果、専業農家の構成比は、昭和六十年の三一・三%から平成二年には三五・二%に高まっております。  本県農家戸数の減少の要因は、農業就業者の高齢化や農業後継者の減少等に伴うことによるものと思われます。  また、南薩地域の減少率が大きいなどの地域によります程度の差がございますのは、他産業への従事や高齢化の振興などの状況が地域によって異なっておるためと思われます。  なお、指宿市域におきましては、畑地かんがいの推進やフラワーセンターの設置などによりまして、野菜、花卉等の園芸部門を中心に着実に生産が伸びてきておりまして、他の地域に比べますと農家一戸当たりの生産農業所得も際立って高いなど、担い手となる農家は確保されておると考えておるところでございます。  次に、経営耕地規模別の農家数におきましては、二・五ヘクタール以上層の農家が増加するなど、経営規模の拡大が進んでおります。特に三ヘクタール以上の階層が増加いたしたことにつきましては、中核農家の規模拡大に対する意欲のあらわれでございまして、農業構造の改善が進みつつあるものと考えております。  一方、二・五ヘクタール未満の階層では、減少傾向にございまして、特に五十アール前後の階層で減少が大きくなっております。これは、冒頭申し上げましたように、兼業農家、中でも二種兼業農家が離脱していったことによるものと推察しておるところでございます。  また、農家戸数の減少に伴いまして、農家人口、農業就業人口も減少傾向にございまして、高齢化も一層進んでまいっておりますことから、今後農業後継者の育成、確保が一層重要な課題となってきておると考えておるところでございます。  また、農業就業人口におきまして、昭和五十五年当時の二十歳から二十九歳の層、すなわち今回の三十歳から三十九歳の層が増加いたしておりますのは、Uターン者の増加や結婚等によります女性の就農が考えられるところでございます。  このほか、経営耕地面積や主要作物の生産状況などの調査結果が示されておりますが、県といたしましては、これらの実態を踏まえまして、農業後継者育成基金の創設等によります担い手農家の育成・確保、農地流動化対策や農作業受委託などによります担い手農家の規模拡大や高齢者、兼業農家を含めました集落営農の推進など構造政策を重点的に進めてまいりますとともに、園芸や肉用牛等の振興によります競争力のある産地づくり、消費者ニーズの多様化に対応いたしますブランドの確立を進めることといたしておるところでございます。  また、バイオテクノロジーなどの先端技術に対応いたしました農業技術の研究開発体制の整備、農業生産基盤の整備、さらに農村振興運動の新たな展開等によります活力に満ちたむらづくりなど各般の施策を積極的に推進していくことといたしておるところでございます。  今後ともこれらの取り組みを進めながら、競争力のある農業の確立を進めまして、若者が希望を持って定着できる農村の建設に努めてまいることといたします。 31 ◯企画部長(中村利雄君)総合基本計画におきましては、農業就業者数を国勢調査べースで積算いたしておりまして、農業就業者の定義が農林業センサスと、それと異なっているわけでございます。このため農林業センサスの農業就業人口とは一致いたしておりませんが、昭和六十二年の農業の就業割合一九・八%が、今後就業者の高齢化や規模拡大などによりまして、平成十三年度にはおよそ一四%程度に減少するのではないかと見ております。  いずれにしましても、本県の農業は、食品加工業と結びつきまして、多くの県民が従事します裾野の広い産業群を構成しておりまして、相当量を県外に移出するなど我が国の食料供給県としての役割を果たしてきているところでございまして、今後とも戦略プロジェクトでございます食の創造拠点かごしまの推進などによりまして、本県経済を支える基幹産業の一つとして、その発展を図っていく必要があると考えております。  次に、特用林産物につきましては、各地域の特徴のある産物として大きな役割を果たしているものと認識しているところでございます。食の創造拠点かごしまのプロジェクトは、全体としてあるべき方向性を示したものでございまして、ここには品目を挙げておりませんが、特用林産物につきましても、県産品の一つとして鹿児島ブランドの確立の施策の中で市場開拓などを行うこととしているものでございます。  また、分野別基本方向の林業編におきましては、特用林産物の産地づくりを施策の基本方向として位置づけまして、生産流通体制の整備とともに銘柄確立、商品開発等を推進し、その振興を図ることとしているところでございます。 32 ◯林務水産部長(有水弘明君)総合基本計画戦略プロジェクトの中における特用林産物の取り扱いにつきましては、先ほど企画部長から答弁したところでありますが、私どもとしては、特用林産物の振興は、農林家の所得機会の確保や高齢者対策などの地域活性化を図る上から大事なことと考えておりますので、分野別基本方向の林業の項で五本の柱の一つとして位置づけまして、これまで同様積極的推進を図ることとしており、これを受けまして、第一期実施計画でも地域編にそれぞれ記述することとしております。  具体的には、それぞれの地域の実情に即し、生産基盤や集出荷施設等の整備、生産者の組織化など生産流通体制の整備を進めますとともに、タケノコ、シイタケ等に加え、タラノメやヤマウド等の新しい作目の振興にも積極的に取り組むこととしております。 33 ◯増留貴朗君 自席からIHIの関係で知事に再質問させていただきますが、豊洲の工場のことは知事は御存じですか。IHIとの話の中で話題になっておりますでしょうか。 34 ◯知事(土屋佳照君)石播の社長とお会いいたしましたときは、もちろん極めて部分的なこの問題だけではなくって、いろんな一般的な経済情勢の話とか、いろんなことをお話をいたしました。そういう中で私も豊洲のあたりとかいろんなことは、都のちょっと委員などもしておりましたので、よく承知もしておりますけれども、いろんなとこへいろんな形の仕事もしておられる。そういう総体の中でいろいろと考えられておられると思いまして、いろいろ話をしたのでございますけれども、やっぱり企業全体としてこういうことを考えているとかいったような具体的な話はちょっと私どもにはされませんので、そういうものの中でどうしてもあそこの鹿児島の土地というのは、あれだけ広大ないいものである。だから、これをあのまま放っておく方はないじゃありませんかというような話の中で、「私どもとしてはこれは非常に大事なところだと考えております」と強くおっしゃるもんで、それでは責任を持ってやっていただきたいというようなことも申し上げ、所有者は向こうでございますので、私もそれ以上は申しませんでしたけれども、強いこちらの気持ちだけは伝えておいた次第であります。    [増留貴朗君登壇] 35 ◯増留貴朗君 石川島播磨重工業の件でございますが、今、知事に再質問させていただきましたけれども、やはり知事、IHIと交渉をするときには、多少ともそういうところまで突っ込まれてもいいんじゃないかと思うんです。  私は、これを調べております間に、IHIの新しいいわゆる部門である航空宇宙の方は、現在田無と瑞穂と呉の第二工場があるんですが、ここには毎年二十億円ずつ投資を続けているそうです。  私どもは、鹿児島にいわゆるロケット基地がありますので、あるいはIHIが航空宇宙産業で後に出てくるんじゃないかと、こう思っていたんですが、私が現在のIHIの投資方向を調べたところでは、そうそう簡単に動くような気配がない。  そうなったときに出てきたのが豊洲の工場のいわゆる再開発計画との関連なんですが、これは造船と修理を中心にしているようです。そうなったときに、すべてIHIがこれを捨ててしまうのか、あるいはまた新しいところへ持ってきまして、いわゆる知多工場とあわせて何かつくる可能性はないのかなというような気がしましたので申し上げたんです。  ぜひひとつ機会がありましたら、この次はそういう、これはもう企画部全体にも申し上げておきたいんですが、IHIがもう少しそういった意味での経営情報というんでしょうか、そういうものを自分たちがつかんだ上で、IHIと突っ込んだ鹿児島の遊休地の再利用についての計画を詰めていただきたいと思いますので、お願いをしておきたいと思います。  農業問題、これ気になりますのは、これは中央でのいわゆる評価になるわけですが、二極分化が進むことは、これからの日本の農業にとって好ましいという考え方。今、農政部長が競争力のある農業をと申されましたけれども、鹿児島県も二極分化を進めたときに、よそとの産地競争に勝つためにはどうしても必要だけれとも、それでは、そういった片っ方の農家をどうしていくかという問題。これは今、鹿児島県のこれからの大きなやはり私は施策の選択のいわゆる分岐点にもなると思うんです。ぜひひとつ御研究していただきまして、頑張っていただかなければならないと思います。  林業は、多少僕は不満なんです。食の創造の部に戦略プロジェクトで出るぐらいのことをなぜやっていなかったのかなという気もしますし、特用林産物についても特段のひとつ努力をしていただきますように、特に林務水産部長にお願いを申し上げておきます。  石川島播磨重工業の第二次鹿児島工場建設計画についてでありますが、先ほどの質問の前段に申し上げましたが、企業誘致による雇用の場の創出の難しさは数字から判断できます。その意味で、この計画も受け入れざるを得ません。  昭和六十年から平成二年までの本県高等学校の卒業生でその就職状況を見ると、五年間の卒業総数十二万名余りであり、その半数の四九・六%が就職をしております。そのうち県外へ就職する者五六・二%、約三万四千名、平成元年度に限っては五七・八%が県外へ就職して、相変わらずふるさとを後にしております。  ぜひともIHIの遊休地については、本県浮揚のため、引き続いて県も参画する方法等も含めて結構でございますので、IHIと突っ込んだ交渉をされますよう強く要望をいたしておきます。  次に、青少年問題についてであります。  「校内暴力家庭に原因」「六割がしつけ指摘」「警察導入の容認が五割」「校内暴力悪質化し、急増」「被害は校長や教頭にも」「大部分が中学生」「腕にかみそり、たばこの火」「女子中学生リンチ事件鹿児島」「仲間を裏切ったとリンチ」「下着を割き、たばこの火」「中学生の校内暴力激増九州・山口」「目立つ教師の受難」「必要枠の警察の介入」「激増する校内暴力事件」「生徒十人大暴れ」「職員室などめちゃくちゃ、遂にパトカー出動」これは、十年一昔と言いますが、昭和五十五年、五十六年の中学生の校内暴力事件が全国的に話題となったときの新聞の見出しです。この中には本県の事件もありますが、皆さん御記憶にありますでしょうか。  文部省、警察庁、県教委、地教委、学校現場の先生たち、PTA、そして地域社会も含めて、私どもは当時の状況に対応するため、あらゆる方策を検討し、青少年を健やかに育てるため、大人としての深い反省に立ちながら、子供たちの未来を見つめて努力することを誓い、そして実践してきたはずである。  しかしながら、十年後の本年十月三十一日、県内の中学校で学校長が生徒を告発するという事件が発生いたしました。「問題児排除の姿勢には疑問」「足元を見つめた教育こそ必要」「中学生の在り方真剣に考えるとき」「真に温かい手を」「生徒告訴は教育の放棄」「校長に協力して正常化に努めて」「教育の放棄取り下げよ」「先生と子供とは一心同体たるべき」「家庭のしつけも考えるべき」詳しい内容は省きますが、地元紙に投稿された県民の世論の一部であります。  「先生が生徒を警察に告訴してもよいか」と尋ねるなら、だれしも「それは好ましいことではありません」と答えると思います。
     そこで、まず、教育長にお伺いしますが、第一に、告訴までに至った経緯も踏まえて、事件の概要を明らかにしていただきたいと思います。  二つ目に、地元紙が県内中学校の状況を特集しておるようでありますが、それに見ると、告訴事件のあった市内の中学校だけでなく、郡部の中学校でも教師の手に余る状況が多数うかがえるのでありますが、正常な学校運営、すなわち一般の生徒たちが通常の学校生活を過ごすのに障害となる特定の生徒たちの存在に困窮する学校がどのくらいあるのか。把握されておられましたら、具体的に数字を交えて状況の説明を願います。  三つ目に、今回の学校長のとった告訴手続について、県民の中に、生徒の行為がどうであったにしても、学校長たるものが生徒を告訴するということは、教育権の放棄につながるから許せないといった意見があります。  また、新聞等で見ると、市議会での市教委の発言として、校長のとった告訴は最善の方法ではなかったと報ぜられており、市教委と相談の上に行ったという校長との食い違いが出ているようでありますが、これについては県教委はどのように報告を受け、学校長のとった今回の告訴手続について、どのような見解を持つのか明らかにしていただきたいと思います。  次に、県民福祉部長にお伺いをいたします。  本件の少年の措置に関連をしてお尋ねしますが、児童福祉法にいう児童とは、十八歳未満の児童であり、不良行為をなし、または不良行為をなすおそれのある児童について、保護者の承諾を尊重しながら、児童相談所で教護院での教育が必要であるかどうかの措置決定をし、それに基づいて教護院が預かることになっていると考えて、おります。  一方、刑法では、十四歳未満の児童については、刑事罰に触れる行為をしても処罰の対象とならないと聞いておりますが、中学生の場合、十四歳の誕生日以降によって告訴の成立する年齢条件が整ってくることになると思います。  本件の少年は、児童相談所に一時的に保護していた時点で、それを抜け出した事実に当面し、学校長が告訴をするに至ったと聞いておりますが、児童相談所での一時保護の経過をお聞かせいただきたいと思います。  次に、この件の調査中に聞いたのでありますが、教護院では、児童のために職員の皆さんが日夜寝食も忘れてその教育に携わっておられます。  しかしながら、教護院から時として抜け出す児童のニュースを耳にするわけですが、その場合、当該児童の行方がある一定の期間判明しなかった場合、措置解除という手続をとられると聞いております。  そこでお伺いしますが、措置解除とはどのような手続か。解除された後の児童はどうなるのか。以前の生活に返ると理解するのでありますが、御説明をいただきたいと思います。  改めて教育長に伺います。この以前の生活に返った児童が、学籍のある学校へ登校してきた場合、義務教育法からいって受け入れなければならないと思うのでありますが、その場合、学校はその児童に対しどのような取り扱いをすることになりますか、御説明いただきたいと思います。  次に、警察本部長にお伺いします。  本件の場合、当該中学生のこれまでの指導の結果を踏まえ、やむを得ず学校長は告訴するに至ったわけで、したがって、中学生はこの時点で刑法の対象となる満十四歳を超えるに至ったものであると判断いたします。通常満十四歳未満の児童、あるいは少年と呼ぶのか、適切な呼び方がわかりませんが、これを警察へ告訴してきた場合、警察はどのように扱われることになりますか。満十四歳以上と未満に分けて御説明いただきたいと思います。  また、少年法に関連してお伺いいたします。  まず第一に、虞犯少年の定義と、どのような場合に一少年を虞犯少年として指導することになるのか教えていただきたいと思います。  二、今回の中学生の場合、どのような背景から虞犯少年として扱うようになったのでしょうか。  三、虞犯少年として指導しなければならない中学生が在籍している中学校とは、通常どのような連絡・協力体制を学校側と警察はとっているのか。事件のあった中学校との場合は具体的にどうであったのか、お教えいただきたいと思います。  四、さきに述べた昭和五十五年当時、警察庁が発表した方針として、少年非行の粗暴犯の延長に校内暴力事件もあるとし、これら校内暴力事件に対応するのは、教育委員会や学校など教育現場であるのが基本であるが、凶悪なものについては強硬な方針で臨む、すなわちこれまでは学校現場での解決を尊重し、警察が介入することはできるだけ差し控える方針を取ってきたが、学校からの要請があれば、教育現場を乱さない範囲内で積極的に取り組むとの方針を打ち出したとしていたのでありますが、その方針は現在でも変わらないのかお答えいただきたいと思います。  五、過去に私ども県議会は、青少年対策特別委員会をつくり、青少年の健全育成に努めてまいりました。警察本部に少年課を設置することを要請し、現在特段の努力をしていただいていると思っております。警察本部におかれましては、青少年犯罪、また健全育成について、現在どのような体制をとっておられるのか。専門の青少年担当官だけでなく、一般の外勤警察官に対しても、青少年対策についてどのように対応するように指導されているか、お聞かせいただきたいと思います。 36 ◯教育長(大田 務君)告訴までに至った事件の概要についてでございますが、当該生徒は、これまで教師に対する暴言や反抗、校長に対する暴力、器物損壊など問題行動を繰り返してきていたところでございます。  これに対しまして、学校としましては、本人に対する個別指導はもちろんのこと、家庭訪問等による保護者との連携、児童相談所等関係機関との連携などさまざまな指導を継続的に行ってきておったわけでございます。  しかしながら、十月二十二日、PTA役員が、学校の中庭で喫煙していた同生徒に注意しましたところ、これに反発し、授業中の教室の窓ガラス三十枚を割るという事件を起こしたわけでございます。その後、入所しておりました児童相談所をも無断で飛び出すに至り、校長としては、やむを得ず窓ガテスの損壊を理由として告訴したものでございます。  次に、生徒指導困難校についてでございますが、県下の大部分の学校は、安定した学校運営がなされてきておりますが、生徒が集団で問題行動を起こすなど生徒指導上極めて困難な状況にある学校があることは残念なことでございます。このような学校を含めまして、本年度生徒指導上困難な学校として、生徒指導担当教員を特別に配置している中学校は十二校ございます。  告訴の手続につきまして、校長と市教育委員会との間の食い違い、それに告訴手続についての見解についてでございますが、市教育委員会によりますと、校長からは、当該生徒の指導に関し、告訴の手続をもやむを得ないと判断している旨、事前に相談があったこと。また、告訴という手続が生徒指導における最善の方法であったとは考えていないが、今回の事態は、当該中学校におけるこれまでの生徒指導の経緯を踏まえてなされたものと理解し、やむを得なかったものと考えている。この旨の報告を受けております。私としましても、今回の告訴に至る経緯を勘案しますと、やむを得ずなされたものと理解しております。  それから、措置解除された生徒の受け入れについてでございますが、登校してきた生徒の補導に当たりましては、当該生徒が学校生活へ円滑に復帰できるよう、教職員や生徒たちの温かい受け入れ態勢づくりをするとともに、保護者や関係機関などとの連携のもとに当該生徒の精神面や交友関係等に特段の配慮をしながら指導を継続していくことになります。  以上でございます。 37 ◯県民福祉部長(瀬戸口 晋君)まず、一時保護の経過についてでございますが、平成元年九月に母親から、子供が学校に行きたがらないなどの相談を受けまして、同年十月二十五日から十一月二十四日まで児童相談所で一時保護をば行っております。その間、施設入所を勧めましたけれども、母親が同意せず、実施できなかったところでございます。  また、本年十月二十三日には、学校での事件を知りました児童相談所の児童福祉司が、家庭を訪問し、児童相談所に来所するよう話しましたところ、翌十月二十四日、母親とともに来所いたしましたので、一時保護の措置をしたところでございますが、十月二十九日無断外出し、自宅に帰っております。  早速児童福祉司が自宅を訪問し、一時保護所へ帰るよう説得をいたしましたが、児童が拒んだため、今後引き続き説得をすることにしていたところでございます。  次に、教護院は開放施設でございますので、入所児童の無断外出がございます。このような場合には、施設では、児童の早期発見、保護につきまして、できるだけの努力をいたしておるわけでございますが、行方のわからない状態が引き続く場合には、保護者と協議の上、児童相談所に措置解除の申請を行い、児童相談所において措置解除の決定をすることになっております。  したがいまして、児童は、その時点から教護院との関係を離れ、保護者の監護のもとに入ることになります。  以上でございます。 38 ◯警察本部長(緒方右武君)まず、十四歳以上と十四歳未満の少年の取り扱いについてでございますけれども、十四歳以上の少年で罪を犯した少年は、罰金以下の罪は家庭裁判所へ、禁錮以上の罪は地方検察庁へ事件を送致することになっております。  したがって、告訴を受けた事件も同じ手続で処理することになっております。  十四歳未満で刑罰法令に触れる行為を行った少年については、告訴の有無にかかわらず、刑法によりこれを罰しないと規定され、犯罪事件として取り扱いはできないことになっております。  しかし、十四歳未満であっても、刑罰法令に触れる行為をし、かつ児童福祉法第二十五条に規定する保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童である場合は、児童相談所に通告しなければならないことになっております。  また、通告した児童について、児童相談所が家庭裁判所の審判に付することが適当と判断した場合は、家庭裁判所に送致することができるようになっております。  次に、虞犯少年についてでございますけれども、十四歳未満、十四歳以上を問わず、少年法第三条一項第三号に規定する少年を指しており、その要件は、一つには、保護者の正当な監督に服しない性癖があること。二つに、正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。三つ目に、犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。四つに、自己又は他人の特性を害する行為をする性癖があることの一つに該当し、少年の性格又は環境に照らし、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年のことを言います。  例えば暴力的行為、シンナー乱用、喫煙等を繰り返し、かつ少年の行状が改まらず、少年の性格、環境等からして、非行を重ねる危険性が高い場合ここに当たります。  虞犯少年としての処置の仕方には、児童相談所への通告と家庭裁判所への送致と二通りあります。通告するか送致をするかについては、その少年の年齢、性格、環境等から総合判断して、主として強制的な矯正措置を要するか否かによって認定しております。  また、少年事案の処理に当たりましては、少年の健全育成に十分な配意しながら、保護者等とも相談し、その少年に最も適切と判断する措置を行っているところでございます。  今回虞犯少年として扱った背景は、先ほど教育長が答弁ありましたとおり、少年がこれまでに授業をサボったり、喫煙、さらには教師に対する暴行、施設に対する損壊等の非行を繰り返し、このまま放置すればさらに非行を繰り返すおそれが認められましたので、虞犯少年として家庭裁判所へ送致したものであります。  それから、学校との連絡・協力体制でございますけれども、平素から中学、高校につきましては、校外生徒指導連絡会等を通じまして非行の実態を把握し、その防止のための対策を講じるなど連携を図り、協力体制をとっているところであります。  今回事件のありました学校につきましても、所轄署において校長、関係教輸との通報連絡体制をとるなど連携していたところでございます。  それから、校内暴力に対する警察の基本方針につきましては、学校及び関係機関の教育的措置によって、その自主的な解決及び未然防止を図られることが望ましいと考えております。  しかし、教育的措置の限界を越えるような事案、被害の状況等から見て、見過ごすことのできない事案につきましては、学校や教育委員会と緊密な連携をとりながら、警察としても事案の内容に応じた適切な措置をとる必要があると考えております。  それから、警察における少年非行防止体制でございますけれども、少年担当係や婦人補導員が少年の非行防止、健全育成に当たるのはもちろんでございますけれども、外勤警察官等他の警察官においても少年係と緊密な連携をとりながら、管内の実態を踏まえ、街頭補導や相談活動、さらには少年柔剣道等を通じた社会参加活動の指導等を行っております。  このような少年補導活動に当たりましては、少年法、児童福祉法等の少年関係法令を遵守して、形式的、画一的な措置に陥ることなく、少年の特性に配意し、当該少年非行防止と福祉を図るため、最も有効・適切な措置をどうしたらよいかを念頭に置きながら、真に非行防止を機能する措置と当該少年の健全育成が図られるよう指導しているところでございます。    [増留貴朗君登壇] 39 ◯増留貴朗君 それぞれ教育長、県民福祉部長、そして警察本部長より御答弁をいただきました。この種の問題の中で特に私どもの県議会の中で特定の少年のことに詳しく立ち入って話をしますことは余りやらないんですけれども、よくないことかもしれませんが、あえてもう少し立ち入って話をさせていただきます。  私もやっていましたPTA活動の経緯から、その当該中学校のPTA関係のOBを初めとして多くの関係者から話を聞かせてもらいました。  それによりますと、先ほども話がありましたように、この当該中学校のグループの中に、まだほかに、当該少年のほかに本県の教護院を抜け出して、遠く県外の新潟あたりまで逃亡していて行方をくらましていて、一ヵ月以上たちまして措置解除になった。その子がまた学校へ出てくるようになって、当該少年を含めて、学校内での非行グループのいわゆる非行行為を繰り返す生徒たちのグループがだんだんだんだん数もふえ、大きくなり、やる行為そのものも悪質化、エスカレートしてきたと聞いております。  学校には朝、好きな時間に出てきて、そして好きな時間に帰っていく。授業教室の中からは自分の自由に先生の、いわゆる注意にはお構いなしに出たり入ったり、後ろに行ってはほかの生徒たちの授業の妨害をする。注意をするというと、先生方に、「こんしゃ、おいどんの飛ばすったっど」と言う。飛ばすということは、いわゆる児童福祉相談所等へ送るという意味であります。だから、先生方をもう打ってはならないよという一つの、いわゆる向こうの方でも話し合いをしながら先生たちとやり合っていた。  これに対して学校側は、教師たちは絶対に暴力に訴えないこと、さちに生徒を刺激する言葉は使わないこと、その指導に当たっては細心の配慮をしながら全校を挙げて取り組み、PTAまた地域の力も借りながら生徒たちの指導教育に当たってきたということです。  気ままに登下校する、授業の妨害はする、給食の食べ残しは学校の二階の窓から投げ捨てる、たばこは注意されても平気で吸う、気に入らないというと窓ガラスを割る。当該少年はそういうガラスを自分の素手で割って、しかも十八針も縫ういわゆるけがも負ったそうです。そして、割ったガラスを今度は通常の生徒たちが掃わこうとするというと、それに対してその少年グループが激しく当たる。そういった実態を聞くにつけ、学校長が学校内での指導育成という立場から、少年問題の関係機関に少年の将来を託したことは、教育現場にある者としてまさに苦渋の選択であったろうと判断せざるを得ません。  教師や生徒に対する暴力やいじめなど、本当に人間的に許せないことを何回注意をしても繰り返すような場合、さらに教師やほかの生徒の身体生命に危険が及ぶと判断した場合等には、学校は警察等の協力を仰ぐべきであり、教育の場だからと言って絶対に甘い対応をしてはならないと思うのであります。教師や外の生徒の人権を守ることも大切なことであります。教育者としての使命を放棄してはいけませんが、どうしても仕方のないときには、学校教育の場からまた排除することを考えるのもやむを得ないことだと思います。  最も大切なことは、教師がかあっとなって一時の興奮で生徒に対処するのではなく、教育者として冷静沈着に考えて生徒に対処し、最も大事なことは、けさの新教育委員長の話にもありましたが、生徒の立場に立って考えるということでありましょう。  学校はあくまでも教育機関であり、教えることで子供たち一人一人の個性や能力を最大限に伸ばしていくことが最も大切なことであって、生き生きとした明るく、規律ある、教育力ある学校になってほしいと思いますし、そのためには学校で教師全体が協力をして問題に当たることを第一義としなければなりません。またそのためには青少年育成に関係する他の関係機関との協力は不可欠であり、家庭及び地域社会との協力、特に学校側の意思を明らかにし、お互いの情報と指導方法を探る努力もまた必要であります。  一般に、教育現場は閉鎖性が強いと指摘されていますが、青少年健全育成の問題については、広く開かれた教育現場の運営がなされるべきであります。もとより、その際に少年の人権と将来性については、細心の注意を払う必要があるのは言うまでもありません。新聞で、教師組合が今回の告訴を取り下げるよう県教委に申し入れたとそういった報道を見ましたが、生徒、少年たちの健全な育成、保護について無益な意見の対立が広がらないよう、学校内で全教師が力を合わせて協力態勢が組まれますよう強く念願をしておきたいと思います。  冒頭において十年ほど前の全国的、そして当時の鹿児島県の校内暴力を中心とする中学生の非行についての新聞の見出しを紹介しました。その当時、県下の各中学校の学校現場を初めとしてこの問題で学んだノウハウ、これまでに蓄積された教訓はどう生かされているのかと問いたいのであります。  今日の少年の特質は、大人の社会の弱みにつけ込んでくる特性がある。家庭では私はよく聞くんですが、子供が県外へ行きませんでした。したがって、子供に自動車を買って与えました。子供いわく、「お父さんちっ、あたいが県外へいたっせえかかっ費用からすれば、自動車はやしもんじゃっど」と言ったから仕方がなかったとおっしゃる。そういう甘やかしのしつけ。学校では少年は善なるもの、教師はどんなに生徒が非行を繰り返しても、それに教師として当たるべし。体罰は絶対だめ、これは当たり前のことです。学校教育法です。それにつけ込み、先生打っみやんせえちっ、打てば今度は先生を飛ばすっでなと、そういう特質を持った子供たち。  私は、やはり本当に少年は私たちの社会の共通の財産です。未来への担い手です。しかし、大人としての英知と愛情を持ちながらやはり厳しく対処する必要がある。そういった意味で、私は今回の校長先生の苦渋に満ちた告訴という手段を支持しますし、またこれを一つの教訓としてほしい、そう思います。  年末を控えて、知事以下執行部は明年度政府予算案編成に向け、新幹線を初めとする本県事業の予算獲得のために頑張っていただかなければなりませんが、議員各位におかれましては、来春の改選期を迎え、御奮闘中と存じます。お体を御自愛の上、県民の皆様とよき新しい年を迎えることができますことをお祈り申し上げて、自由民主党新生県議団の代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 40 ◯議長(五領和男君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 41 ◯議長(五領和男君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、代表質問及び一般質問であります。       ─────────────    △ 散  会 42 ◯議長(五領和男君)本日は、これで散会いたします。         午後三時九分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...